
「部活から帰ると食欲がなく、夕食があまり食べられない」「暑い日はそうめんだけで終わってしまう」――そんな日が続いていませんか。
暑さで食欲が落ちるのは、夏にはよくあることです。
しかし、中学生・高校生は成長期でもあるため、成長・発達に必要な栄養に加えて、日々の練習や試合で使うエネルギーも確保することが大切です。
だからといって、無理に普段どおりの量を食べる必要はありません。
大切なのは、食べられる量の中で必要な栄養を補うことです。
この記事を読めば、暑くて食欲がない日でも、パフォーマンスを落とさない食事の工夫や、無理なく栄養を補う方法が分かります。
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。
この記事でわかること
- 暑くなると食欲が落ちる原因
- 食欲がなくても食べたほうがいい理由
- 食べられない時の対処法
- 補食の上手な活用方法
- 食欲がない時でも食べやすくする工夫
Contents
暑くて食欲がないのはなぜ?夏バテで食欲が落ちる原因
夏になると、「お腹は空いているのに食べる気がしない」「食欲がなくてご飯が進まない」と感じることがあります。
これは気のせいではありません。
暑さによる体への負担や運動による疲労、水分不足などが重なることで、食欲が落ちやすくなります。
暑さや運動の疲れで食欲が落ちやすくなる
暑い環境では、体は汗をかいて体温を下げようと働きます。
さらに、長時間の練習や試合では体への負担も大きく、疲れがたまりやすくなります。
暑さが続くと、体のさまざまな働きを調整する自律神経にも影響が及ぶことがあります。
そこに運動による疲れが重なると、
- 食欲がわかない
- 胃が重く感じる
- 食べると気持ち悪くなる
といった症状が現れることがあります。
汗で水分や電解質が不足しやすい
暑い日に運動すると、大量の汗をかきます。
汗と一緒に失われるのは、水分だけではありません。
ナトリウムやカリウムなどの電解質(体内の水分バランスや筋肉・神経の働きを保つミネラル)も失われます。
水分や電解質が不足すると、
- 体がだるい
- 疲れやすい
- 食欲がわかない
といった体調不良につながることがあります。
また、水分不足は熱中症のリスクも高めます。
暑い日は、こまめな水分補給を心がけましょう。
▶ 関連記事:熱中症対策の水分補給とは?運動・部活で役立つ飲み方・タイミング・飲み物を管理栄養士が解説
食欲がないときでも食べたほうがいい理由|部活・スポーツで夏バテを防ぐために
「今日は食欲がないから、1食くらい抜いても大丈夫かな。」
暑い日には、そのように思うこともあるでしょう。
1日だけ食事量が少ないからといって、すぐに大きな影響が出るわけではありません。
しかし、その状態が続くと、エネルギーや栄養が不足し、パフォーマンスや回復に影響することがあります。
エネルギー不足でパフォーマンスが低下する
スポーツでは、走る・跳ぶ・投げるなど、あらゆる動きにエネルギーが必要です。
中学生・高校生は成長期でもあるため、運動だけでなく、体をつくるためのエネルギーも必要になります。
食欲がないからと食べない日が続くと、使ったエネルギーを十分に補えず、知らないうちにエネルギー不足になることがあります。
その結果、
- 練習の後半で動けなくなる
- 集中力が続かない
- 思うようなプレーができない
など、本来のパフォーマンスを発揮しにくくなることがあります。
疲れが取れにくくなる
運動後の体は、使ったエネルギーを補い、傷ついた筋肉を修復しています。
しかし、食事量が不足すると回復に必要な栄養が十分に補えず、疲労が翌日まで残りやすくなることがあります。
回復が遅れることで、翌日の練習や試合でも本来の力を発揮しにくくなることがあります。
「朝から体が重い」「毎日疲れが抜けない」と感じる場合は、暑さだけでなく、食事量が不足していることも一つの原因かもしれません。
「食べられる範囲で食べる」ことが大切
食欲がない日に、無理をして普段どおりの量を食べる必要はありません。
大切なのは、「何も食べない」状態をできるだけ避けることです。
一度にたくさん食べられなくても、食べられるタイミングで、食べられる量から少しずつ取り入れることが、エネルギー不足を防ぎ、コンディションの維持につながります。
では、暑くて食欲がない日は、どのように食べればよいのでしょうか。
次は、無理なく実践しやすい食べ方の工夫を紹介します。
食欲がない時でも食べやすくするポイント
一度にたくさん食べようとしない
食欲がない時は、一度にたくさん食べようとすると、かえって負担に感じてしまうことがあります。
そのような時は、無理に1回で食べ切ろうとせず、食べられる量を少しずつ取り入れることを意識しましょう。
例えば、1回の食事量を少なくしたり、「今なら少し食べられそう」と思ったタイミングで口にしたりするなど、その日の体調に合わせて無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。
食べやすい料理を選ぶ
暑い日は、のどごしがよく、無理なく食べられる料理を選ぶのも一つの方法です。
食欲がない時は、「何を食べるか」よりも、「食べられるものを選ぶ」ことを優先しましょう。
ただし、主食だけではたんぱく質やビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。
食べやすい料理を選びながら、できる範囲で卵や魚、肉、大豆製品などのたんぱく質を1品加えることを意識すると、必要な栄養を補いやすくなります。
食欲がない日だけでなく、夏休み全体の食事の整え方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:夏休みのごはんで差がつく!成長期アスリートの食事術
補食を活用する
一度に十分な量を食べられない時は、補食を活用するのも一つの方法です。
補食の必要性や食べるタイミング、おすすめの食品について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説
味付けや料理を工夫する
食欲がない時は、料理の味付けや温度を少し工夫するだけでも、食べやすくなることがあります。
例えば、
- レモン
- 梅
- ポン酢
- 大葉
- みょうが
- しょうが
など、さっぱりとした味付けや香りのある食材を取り入れると、口に運びやすくなる人もいます。
また、冷たい料理が食べやすい日もあれば、みそ汁やスープ、にゅうめんなど温かい料理の方が食べやすい日もあります。
「冷たいものが正解」「温かいものが正解」というわけではありません。
その日の体調に合わせて、食べやすい温度や料理を選ぶことが大切です。
無理に普段どおりの食事を目指す必要はありません。
「今日はこれなら食べられそう」と思える料理を選ぶことが、暑い夏でも食事を続けるコツです。

よくある質問(FAQ)
Q. 部活後に食欲がなく、夕食が食べられない時はどうすればいいですか?
A,無理に普段どおりの量を食べる必要はありません。
まずは食べられる量から始め、少し時間を空けてから食べるなど、その日の体調に合わせて調整しましょう。
一度に十分な量を食べられない場合は、補食を活用して不足するエネルギーや栄養を補う方法もあります。
食欲がない状態が続く場合は、練習量や体調も確認し、無理をせず休養をとることも大切です。
Q. スポーツドリンクだけでも大丈夫ですか?
A.スポーツドリンクは、水分や糖質、電解質の補給に役立ちます。
しかし、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどは十分に補えません。
食事や補食と組み合わせて取り入れることが大切です。
▶ 関連記事:スポーツドリンクは全部同じじゃない!種類ごとの違いと正しい選び方を徹底解説
Q. 食欲がない時でも補食は食べたほうがいいですか?
A.食事で十分な量を食べられない時は、補食を活用するのも一つの方法です。
無理にたくさん食べるのではなく、食べられるタイミングで少しずつ栄養を補いましょう。
補食について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説
Q. 食欲がない日が何日も続く場合はどうすればいいですか?
A.暑さによる一時的な食欲低下であれば、体調の回復とともに改善することが多いですが、食欲不振が長く続く場合や、体重が大きく減る場合、発熱や強いだるさ、吐き気などを伴う場合は、夏バテ以外の原因が隠れている可能性もあります。
無理に我慢せず、医療機関に相談しましょう。
まとめ

暑くて食欲がないのは、夏にはよくあることです。
しかし、スポーツをする中学生・高校生にとって、食事量が不足した状態が続くと、エネルギー不足や疲労の蓄積につながり、練習や試合のパフォーマンスにも影響する可能性があります。
無理に普段どおりの量を食べる必要はありません。
大切なのは、「何も食べない」のではなく、食べられるものを少しでも取り入れることです。
また、食事・補食・水分補給は、それぞれ役割が異なります。
どれか一つだけに頼るのではなく、組み合わせて取り入れることで、暑い夏でもコンディションを整えやすくなります。
今日から1つだけやるなら
食欲がない日は、「普段どおり食べる」ではなく「今なら何が食べられそう?」と考えてみましょう。
〇食欲がない日のチェックリスト〇
□ 無理に普段どおりの量を食べようとしなかった
□ 「今なら食べられそう」と思うものを選んだ
□ 食べられる量から少しずつ取り入れた
□ 味付けや温度を工夫してみた
□ 食事で足りない分は補食も活用した
〇管理栄養士から一言〇
食欲がない日に、普段どおりの食事を完璧に食べる必要はありません。
大切なのは、食べられるものを、食べられる量から取り入れることです。
その日の体調に合わせて無理なく食べることが、暑い時期のコンディション維持につながります。
参考文献
熱中症環境保健マニュアル ~総論~(2025年7月版)
発行元:環境省
https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual_ov.php
American College of Sports Medicine Position Stand: Exercise and Fluid Replacement
発行元:American College of Sports Medicine
著者:Sawka MN, Burke LM, Eichner ER ほか
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17277604/
Sports Dietitians Australia Position Statement: Sports Nutrition for the Adolescent Athlete
発行元:Sports Dietitians Australia
著者:Desbrow B, McCormack J, Burke LM ほか
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24668620/
Nutrition and Athletic Performance
発行元:Academy of Nutrition and Dietetics/Dietitians of Canada/American College of Sports Medicine
著者:Thomas DT, Erdman KA, Burke LM
https://www.researchgate.net/publication/297695609_Nutrition_and_Athletic_Performance
Evaluation of the Effect of Heat Exposure on the Autonomic Nervous System by Heart Rate Variability and Urinary Catecholamines
発行元:Journal of Occupational Health
著者:Shinji Yamamoto, Mieko Iwamoto, Masaiwa Inoue, Noriaki Harada
https://academic.oup.com/joh/article/49/3/199/7269428

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。









