
ランニング中に急にトイレに行きたくなったり、走り終わったあとに下痢になったりした経験はありませんか?
「走る前に食べたものが悪かったのかな?」「試合の日は食事を減らした方がいい?」と悩む選手もいるでしょう。
実は、ランニング中の下痢には食事だけでなく、運動による胃腸の働きの変化や、走るときの揺れなども関係しています。
この記事を読めば、ランニングで下痢になる原因と、食事・水分補給でできる対策が分かるようになります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。
Contents
ランニングで下痢になるのはなぜ?
ランニング中の下痢には、運動による体の変化や、食事・水分補給など、複数の要因が関係しています。

運動中は筋肉へ多くの血液が送られるため、胃や腸に流れる血液が減少します。
その影響で胃腸の働きが変化し、腹痛や便意、下痢などの症状につながることがあります。
また、ランニングでは着地のたびにお腹へ繰り返し衝撃が加わります。
こうした機械的な刺激も、胃腸症状に関係する要因の一つと考えられています。
特に、長時間のランニングや運動強度が高い場合、暑い環境で走る場合などは、胃腸への負担が大きくなることがあります。
つまり、ランニング中に下痢になったからといって、必ずしも直前の食事だけが原因とは限りません。
ランニング中の下痢と食事にはどんな関係がある?
ランニング中のお腹の不調は、人にはなかなか話しにくい悩みかもしれません。
しかし、実際には多くのランナーが経験しています。
2023年に成人ランナー1,993人を対象に行われた調査では、57%がランニング中または運動後3時間以内に腹部症状を経験していたと報告されています。
この調査には下痢だけでなく、腹痛やお腹の張りなども含まれています。
また、食事の量やタイミングが症状に影響すると感じているランナーも多くいました。
運動前の食べ物・飲み物の影響
脂質の多い食事は胃にとどまる時間が長くなりやすく、運動前にたくさん食べると胃もたれや不快感につながることがあります。
また、食物繊維の多い食品は、お腹の張りや便意に影響する可能性があり、運動前の食事で確認したいポイントの一つです。
例えば、揚げ物や豆類、食物繊維の多い野菜などを食べたあとにお腹の調子が悪くなる場合は、食べたものや量を振り返ってみましょう。
飲み物についても、糖質の濃度や一度に飲む量によっては、運動中の胃腸の不快感につながることがあります。
これらの食品や飲み物を一律に避けるよりも、自分の体調に合わせて運動前の食べ方を調整することが大切です。
食事をとるタイミングと量
ランニング前に食事をたくさんとったり、食後すぐに走ったりすると、お腹の不快感につながることがあります。
同じ食事でも、運動の強さやその日の体調によって影響は変わります。
何を食べたかだけでなく、いつ、どのくらい食べたかも合わせて確認してみましょう。
大会前日の食事や当日の食べ方について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 関連記事:陸上の大会前日は何を食べる?中高生・長距離選手の前日・当日の食事
ランニング中の下痢を減らすためにできる食事の工夫
ランニング中のお腹の不調を減らすには、食事を抜くのではなく、練習時間に合わせて食べ方や水分補給を工夫することがポイントです。

練習前の食事内容と時間を調整する
ランニング前にお腹の調子が悪くなりやすい場合は、食事から運動までの時間や、直前に食べた補食を振り返ってみましょう。
食後すぐに走ると症状が出やすい場合は、食べる時間を早めたり、直前に食べる量を調整したりする方法があります。
運動までの時間が短いときは、脂っこい料理を控え、おにぎりや食パンなどの比較的消化しやすい食品を選ぶのも一つの方法です。
昼食や補食で必要な栄養をとりながら、練習時間に合わせて食べ方を工夫しましょう。
補食の種類や選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめ|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説
水分補給の量と飲み方を調整する
水分不足は運動中の胃腸症状を悪化させる要因の一つですが、一度に大量に飲むこともお腹の不快感につながります。
走りながら飲み物を一度にたくさん飲むとお腹の調子が悪くなる場合は、一度に飲む量を見直し、何回かに分けて補給する方法を試してみましょう。
暑さや運動時間、汗の量などに合わせて、必要な水分を確保することが大切です。
▶ 関連記事:熱中症対策の水分補給とは?運動・部活で役立つ飲み方・タイミング・飲み物を管理栄養士が解説
練習で自分に合った補給方法を見つける
運動中の胃腸症状への対策として、「ガットトレーニング」という方法も研究されています。
これは、練習中に糖質などの補給を繰り返し行い、運動中でも栄養を補給しやすい状態を目指す方法です。
持久系ランナーを対象とした研究では、ガットトレーニングによって運動中の胃腸症状が軽減したことが報告されています。
ただし、中高生への効果については、まだ十分な研究がありません。
中高生の場合は、特別な補給方法を無理に試すよりも、まずは普段の練習で食事や飲み物と体調の関係を確認することから始めましょう。
例えば、次のような項目を振り返ると、症状が出やすい条件を見つける手がかりになります。
| 確認すること | 振り返るポイント |
|---|---|
| 食事の時間 | 走る何時間前に食べた? |
| 食事の内容・量 | 何をどのくらい食べた? |
| 飲み物 | 種類・量・飲んだタイミングは? |
| 運動内容 | 何分走った?普段より速かった? |
| 運動環境 | 暑かった?蒸し暑かった? |
| 症状 | いつ下痢になった?腹痛もあった? |
記録を続けて、症状が出やすいパターンが見えてきたら、食事の時間や量などを一つずつ調整してみましょう。
下痢を繰り返す場合は、食事以外の原因が関係している可能性もあるため、医療機関へ相談してください。
運動中や運動後に下痢になったらどうする?
ランニング中や運動後に下痢になったときは、脱水やほかの症状がないか確認しましょう。
下痢によって水分や電解質(ナトリウムなど)が失われるため、水分と電解質を補給することが大切です。
水分や電解質が多く失われた場合は、経口補水液などの利用も検討しましょう。
また、下痢が落ち着いても、腹痛や吐き気、めまいなどが残っている場合は、練習への復帰を控えてください。
次のような症状がある場合は、速やかに医療機関へ相談しましょう。
- 血便や黒い便が出る
- 強い腹痛がある
- 高い熱や繰り返す嘔吐がある
- 強いめまいや尿量の減少など、脱水が疑われる
- 水分を十分に飲めない
下痢が長引く場合や、ランニングのたびに繰り返す場合も、食事以外の原因が考えられます。
保護者や指導者に伝え、医療機関へ相談しましょう。
まとめ|自分のお腹に合った食事を見つけよう

ランニング中の下痢には、胃腸への血流の変化や走るときの衝撃、食事・水分補給など、さまざまな要因が関係しています。
お腹の調子が悪くなるからといって、食事や水分を必要以上に減らすのは避けたいところです。
特に成長期のアスリートにとって、十分な栄養と水分を確保することは欠かせません。
まずは、症状が出たときの食事内容やタイミング、運動の強さを振り返ってみましょう。
自分のお腹に合った食べ方や水分補給の方法を見つけて、安心してランニングに取り組みましょう!
参考文献
Sports Dietitians Australia and Ultra Sports Science Foundation Joint Position Statement: A Practitioner Guide to the Prevention and Management of Exercise-Associated Gastrointestinal Perturbations and Symptoms
発行元:Sports Medicine(2025)
著者:Costa RJS, et al.
https://doi.org/10.1007/s40279-025-02186-6
Runner’s diarrhea: what is it, what causes it, and how can it be prevented?
発行元:Current Opinion in Gastroenterology(2017)
著者:de Oliveira EP
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Exercise-related abdominal complaints in a large cohort of runners: a survey with a particular focus on nutrition
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著者:Baart AM, et al.
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Symptoms & Causes of Diarrhea
発行元:National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK)
https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/diarrhea/symptoms-causes
Treatment of Diarrhea
発行元:National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases(NIDDK)
https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/diarrhea/treatment

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。








