スポーツ貧血とは?部活ですぐ疲れる・息切れする中高生の症状と食事

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「最近、前よりすぐ疲れる」「同じ練習なのに息が上がる」「なかなか記録が伸びない」

スポーツに取り組む中高生は、こうした変化を「練習がきついから」「体力が落ちただけ」と考えてしまうことがあります。
しかし、その背景に貧血や鉄不足が隠れていることもあります。

成長期のアスリートは、体の成長に伴って鉄の必要性が高まります。
さらに、スポーツ活動による影響や、女子では月経による鉄の損失など、複数の要因が重なることがあります。

この記事では、管理栄養士・スポーツ栄養プランナーの視点から、中高生アスリートにみられるスポーツ貧血の症状や原因、鉄だけではない食事のポイントについて解説します。

スポーツ貧血とは?

スポーツをする人にも貧血はみられ、アスリートでは鉄が不足する「鉄欠乏性貧血」がよくみられます。

貧血になると、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが減少します。
そのため、全身へ酸素を運ぶ能力が低下し、持久力や競技パフォーマンスに影響することがあります。

ただし、貧血には鉄不足以外の原因もあります。
症状だけでは原因を判断できないため、「スポーツ貧血=すべて鉄不足」と決めつけないことが大切です。

部活ですぐ疲れる・息切れするのはスポーツ貧血のサイン?

中高生アスリートでは、日常生活の症状だけでなく、スポーツ中の「いつもと違う変化」が貧血に気づくきっかけになることがあります。

以前より疲れやすく、息が上がりやすい

貧血になると全身へ酸素を運ぶ能力が低下するため、疲れやすさや息切れなどがみられることがあります。

「いつもと同じ練習なのに前よりきつい」「少し走っただけで息が上がる」など、これまでとの違いに目を向けてみましょう。

練習についていけない・記録が伸びない

「疲れが抜けない」「以前はできていた練習についていけない」「記録が伸びない」など、競技パフォーマンスの変化として現れることもあります。

調子が上がらないからとさらに練習量を増やす前に、体調や食事の状態も確認してみましょう。

めまい・頭痛・動悸などがみられることも

貧血では、疲れやすさや息切れのほか、めまい、頭痛、動悸などがみられることもあります。

ただし、これらは貧血だけに起こる症状ではありません。

スポーツ貧血に気づくサイン。すぐ疲れる、息が上がりやすい、練習についていけない、記録が伸びない、めまい・頭痛、動悸など、いつもと違う変化を示した図解。

なぜ中高生アスリートは鉄不足・貧血になりやすい?

中高生アスリートの鉄不足には、成長、スポーツ活動、月経、食事量など、複数の要因が関係します。

成長に伴って鉄の必要性が高まる

中高生は、身長や体重が大きく変化する成長期です。
体が大きくなり血液量が増える時期には、ヘモグロビンをつくるために必要な鉄の需要も高まります。

貧血というと女子をイメージするかもしれませんが、成長期では男子にもみられます。
性別だけで判断せず、体調やパフォーマンスの変化に注意しましょう。

スポーツ活動による影響もある

アスリートでは、成長による鉄需要の増加に加えて、激しいトレーニングによる鉄需要の増加や、発汗、消化管からの出血などが鉄不足に関係する場合があります。

「スポーツをしている=貧血になる」ということではありませんが、運動量が多い中高生では、複数の要因が重なっていないかを見ることが大切です。

女子は月経によって鉄を失う

月経のある女子では、月経血とともに鉄が失われます。

成長によって鉄の必要性が高まる時期に、スポーツ活動や月経による影響が重なることがあります。
特に月経量が多い場合などは、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。

体重を気にして食事を減らしていない?

中高生になると、見た目や体重が気になったり、競技のために体重を意識したりして、食事量を減らしてしまうことがあります。

しかし、スポーツに取り組む成長期は、体の成長と運動の両方にエネルギーや栄養素が必要な時期です。
食事量が少なくなると、鉄だけでなく、たんぱく質やビタミン類なども不足しやすくなります。

「鉄不足だから鉄を足す」と考える前に、体重を気にして食事を減らしていないか、朝食を抜いていないかなど、普段の食べ方も振り返ってみましょう。

中高生アスリートの鉄不足につながる4つの要因。成長、スポーツ活動、月経、食事量不足があり、複数の要因が関係することを示した図解。

スポーツ貧血が気になるときは血液検査で確認する

疲れやすさや息切れだけで、鉄欠乏性貧血かどうかを判断することはできません。
気になる症状やパフォーマンス低下が続く場合は、医療機関に相談し、必要に応じて血液検査で確認しましょう。

ヘモグロビンやフェリチンなどを確認する

貧血の有無は、血液検査でヘモグロビンなどを調べて確認します。
鉄不足が疑われる場合には、体内に蓄えられている鉄の状態をみるフェリチンなどが確認されることもあります。

鉄不足では、ヘモグロビンが低くなる前に体内に蓄えられた鉄が減少することもあります。
検査結果は自己判断せず、医師に確認しましょう。

スポーツ貧血を防ぐために食事でできること

貧血予防では鉄を意識することも大切ですが、鉄だけを増やせばよいわけではありません。

まず活動量に見合った食事量を確保し、そのうえで鉄を含む食品や、血液をつくるために必要な栄養素を毎日の食事からとることが基本です。

まずは活動量に見合った食事量を確保する

スポーツで消費するエネルギーに対して食事量が少なければ、鉄だけでなく、たんぱく質やビタミン類なども不足しやすくなります。

まずは朝・昼・夕の3食を基本に、主食・主菜・副菜などを組み合わせましょう。
3食だけでは必要なエネルギーをとりきれない場合は、補食を活用する方法もあります。

鉄を多く含む食品を毎日の食事に取り入れる

鉄は、肉類や魚介類、大豆製品、野菜など、さまざまな食品に含まれています。

食品のグループ食品例
肉類レバー、牛肉など
魚介類まぐろ、あさり、かつおなど
大豆製品納豆、大豆、豆乳、がんもどきなど
野菜など小松菜、大根の葉、切り干し大根など

ひとつの食品に偏る必要はありません。肉や魚などの動物性食品と、大豆製品や野菜などの植物性食品を、普段の食事のなかでバランスよく取り入れていきましょう。

鉄だけでなく、食事全体を組み合わせる

血液をつくるためには、鉄だけでなく、たんぱく質やビタミンB6、ビタミンB12、葉酸なども関わります。
また、ビタミンCは鉄の吸収を助けます。

肉・魚・卵・大豆製品などの主菜と、野菜や果物、エネルギー源となる主食を組み合わせ、特定の栄養素だけに偏らない食事を意識しましょう。

中高生が取り入れやすい食事の組み合わせ

貧血予防のために、毎日特別なメニューを用意する必要はありません。

たとえば朝食なら、

ごはん+納豆+卵+野菜のおかず+果物

夕食なら、

ごはん+牛肉や魚の主菜+小松菜などを使った副菜+汁物

のように、普段の食事のなかで鉄を含む食品やたんぱく質、野菜・果物を組み合わせられます。

「貧血対策=鉄を足す」と考えるのではなく、まず毎日の食事量と組み合わせを整えることから始めましょう。

まとめ|「最近すぐ疲れる」を練習不足だけで片づけない

中高生アスリートの「最近すぐ疲れる」「息切れする」「以前より走れない」という変化には、貧血や鉄不足が隠れていることがあります。

調子が落ちたからと「練習が足りない」とさらに追い込む前に、体調や食事の状態にも目を向けてみましょう。

食事では、鉄だけに注目せず、活動量に見合った食事量を確保し、さまざまな食品から必要な栄養素をとることが大切です。
いつもと違う変化に早めに気づき、食事や体調を整えることが、元気にスポーツを続けることにもつながります。

参考文献

  1. 公益財団法人日本サッカー協会(JFA)「JFA栄養ガイドライン」
    https://www.jfa.jp/medical/a08.html
  2. 公益財団法人日本サッカー協会(JFA)「JFA栄養ガイドライン Q&A|貧血とは」
    https://www.jfa.jp/medical/a08_faq.html
  3. 独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)「ミネラル‐鉄」
    https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/study/sports_nutrition/tabid/1486/Default.aspx
  4. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html

執筆者:丸井 遥

管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。

病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。

また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。

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