
「肉離れをしたけど、何を食べればいい?」
「筋肉のケガだから、プロテインを多めに飲んだほうがいい?」
「練習できない間は、ご飯を減らしたほうがいいのかな?」
部活やクラブチームでスポーツをしている中高生が肉離れをすると、治療やリハビリだけでなく、食事についても迷うことがあります。
肉離れは食事だけで治せるものではありません。
しかし、ケガをしている間も体はエネルギーや栄養素を必要としており、食事は筋肉の修復や筋量の維持を栄養面から支える役割があります。
この記事を読めば、肉離れをしたときに食事で何を優先すればよいのか、プロテインは必要なのかが分かります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。
Contents
肉離れしたときは食事で何を意識する?
肉離れは、筋肉が引き伸ばされたり強く収縮したりした際に、筋線維などが損傷するケガです。
まずは医療機関で適切な診断や治療を受け、状態に合わせてリハビリを進めます。
食事は治療の代わりではなく、必要なエネルギーや栄養素を補い、回復する体を栄養面から支えるものです。
また、ケガをすると練習量が減り、筋肉への刺激も少なくなります。
そのため、「筋肉のケガだからプロテインを増やそう」と一つの栄養素だけに注目するのではなく、必要なエネルギーを確保したうえで、たんぱく質や炭水化物をとることから考えていきましょう。
肉離れの回復を栄養面から支える3つのポイント

①エネルギー不足にしない
肉離れで練習を休むと、「動いていないから太りそう」と食事を大きく減らしてしまうことがあります。
しかし、ケガをしている間も基礎代謝や日常生活にエネルギーを使い、損傷した組織の修復にもエネルギーが必要です。
スポーツ傷害からのリハビリでは、必要なエネルギーまで不足させないことがポイントになります。
一方で、練習量が減れば消費するエネルギー量も変わります。
「練習していないから食べない」と極端に減らすのではなく、活動量に合わせて調整しましょう。
ケガで練習できない期間の食事量について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:部活を2週間休むと筋肉は落ちる?テスト期間・ケガ中の食事は減らすべき?
②たんぱく質を毎食とる
たんぱく質は筋肉を構成する材料になるため、肉離れをしたときにも不足させたくない栄養素です。
肉、魚、卵、大豆製品、牛乳・乳製品などのたんぱく質源を、朝・昼・夕の食事に取り入れましょう。
若年アスリートでは、十分なエネルギー摂取を前提に、1日に体重1kgあたり約1.5gのたんぱく質が一つの目安として示されています。
体重50kgなら、1日約75gです。
これは肉離れを早く治すための量ではなく、成長しながらスポーツに取り組む若年アスリートに示されている目安です。
肉離れを理由に、たんぱく質の摂取量を大幅に増やす必要はありません。
また、夕食だけにまとめるのではなく、朝・昼・夕など1日の中で複数回に分けてとることも意識しましょう。
③炭水化物を極端に減らさない
肉離れをすると練習量が減るため、「ご飯は太りそうだから減らそう」と考えることもあるでしょう。
ご飯・パン・麺類などに含まれる炭水化物は、体の主要なエネルギー源です。
肉離れをしたからといって主食を大幅に減らすと、必要なエネルギーまで不足する可能性があります。
そのため、練習を休んでいる間も主食を極端に減らしたり、抜いたりするのは避けましょう。
たんぱく質だけでなく、エネルギー源となる主食も組み合わせることを意識してください。
肉離れしたらプロテインを飲んだほうがいい?
肉離れは筋肉のケガなので、「たんぱく質を多くとったほうがいい?」「プロテインを飲んだほうがいい?」と迷う方もいるでしょう。
プロテインは、たんぱく質を手軽に補給するための食品です。
肉離れそのものを治療するものではありません。
実際に肉離れをした人を対象に、リハビリ中のプロテイン摂取について調べた研究もあります。
この研究では、プロテインを追加しても、筋肉量や筋力、競技復帰までの期間に明確な効果は確認されませんでした。
この研究は成人を対象としているため、中高生にも同じ結果が当てはまるかは分かっていませんが、まずは普段の食事から必要なたんぱく質をとれているかを確認することがポイントです。
食事から必要なたんぱく質をとれている場合は、肉離れをしたことを理由にプロテインを追加する必要はありません。
一方、朝食をほとんど食べられないなど、食事だけではたんぱく質源を確保しにくい場合には、不足分を補う方法の一つとして利用できます。
肉離れの回復期は何を食べる?
肉離れをしたからといって、特別なメニューを用意する必要はありません。
ここまでの3つのポイントを、普段の食事に当てはめてみましょう。
たとえば朝食なら、ご飯+卵料理+納豆+みそ汁+果物。ご飯から炭水化物、卵や納豆からたんぱく質をとることができます。
昼食なら、ご飯+肉や魚のおかず+野菜のおかず。
夕食も同じように、主食とたんぱく質源になる主菜を組み合わせます。
たんぱく質は夕食だけに偏らせず、朝・昼・夕の3食に分けてとることを意識しましょう。
卵や納豆、牛乳・乳製品なども取り入れると、朝食でもたんぱく質源を確保しやすくなります。
食欲がないときは、おにぎりとヨーグルト、パンと牛乳など、食べられるものを組み合わせる方法もあります。
3食だけでは必要なエネルギーや栄養素をとりきれないときの補食について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説
「肉離れにいい食べ物」を一つ探すのではなく、エネルギー源になる主食と、筋肉の材料になるたんぱく質源を毎食確保するところから始めてみましょう。
肉離れを繰り返す場合は食事だけで考えない
肉離れを繰り返していると、「栄養が足りていないのかな?」と心配になるかもしれません。
しかし、肉離れには過去の肉離れや競技動作、筋力、トレーニング負荷など、さまざまな要因が関係します。
食事だけから原因を判断することはできません。
痛みが続いている場合や、何度も同じ部位を傷めている場合は、自己判断で競技復帰を急がず、医師や理学療法士などの専門家に相談しましょう。
栄養面では、食事量を極端に減らしていないか、たんぱく質源を毎食とれているかなど、回復期の食生活を確認してみてください。
まとめ|肉離れしたときは「プロテインだけ」に頼らない

肉離れをしたときの食事では、特別な食品やサプリメントを探すよりも、まず次の3つを意識しましょう。
・必要なエネルギーを確保する
・たんぱく質を毎食とる
・炭水化物を極端に減らさない
プロテインは不足するたんぱく質を補う選択肢の一つですが、肉離れを理由に追加する必要はありません。
治療やリハビリを基本にしながら、毎日の食事から回復する体を支えていきましょう。
参考文献
Nutritional Support for Exercise-Induced Injuries
発行元:Sports Medicine
著者:Kevin D. Tipton
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4672013/
Nutritional Considerations and Strategies to Facilitate Injury Recovery and Rehabilitation
発行元:Journal of Athletic Training
著者:Abbie E. Smith-Ryan et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32991705/
Nutritional Recommendations for the Young Athlete
発行元:Journal of the Pediatric Orthopaedic Society of North America
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12088083/
Effects of Protein Supplementation During Early Rehabilitation on Muscle Volume and Function After Acute Muscle Strain Injuries: A Randomized Controlled Trial
発行元:Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40145631/

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。









