
「スポーツ栄養って、プロ選手や強豪校の選手が取り組むものじゃないの?」
部活動やクラブチームでスポーツを頑張っていても、食事まで意識する必要があるのか、疑問に思う中高生や保護者もいるでしょう。
しかし、スポーツ栄養は、トップ選手だけのものではありません。
知識があれば、毎日の食事から取り組むことができます。
この記事を読めば、スポーツ栄養が中高生にも必要な理由と、今日から実践できることが分かるようになります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。
Contents
スポーツ栄養はプロだけのものではない

スポーツ栄養とは、運動や競技に必要なエネルギー・栄養素を食事からとり、健康や身体づくり、競技活動を支えるための考え方です。
プロ選手だけでなく、学校の部活動やクラブチームでスポーツに取り組む中高生にも関係があります。
スポーツ栄養は、競技レベルに関係なく、スポーツをする人なら誰でも取り入れられるものです。
専属の管理栄養士がいなくても実践できる
プロスポーツの世界では、管理栄養士が選手の食事をサポートすることがあります。
しかし、専属の管理栄養士がいなければスポーツ栄養に取り組めない、というわけではありません。
例えば、朝食を食べずに練習へ行っていないか、練習後に夕食まで長い時間が空いていないかなど、普段の生活を振り返ることもスポーツ栄養の実践につながります。
もちろん、競技や身体の状態によっては専門家による個別のサポートが役立つ場合もあります。
まずは自分の生活の中で、できることから始めてみましょう。
特別な食品よりも、毎日の食事が基本
スポーツ栄養というと、プロテインやサプリメント、アスリート専用の食品を思い浮かべる人もいるかもしれません。
しかし、スポーツに必要な栄養は、ご飯やパン、肉、魚、卵、野菜、乳製品など、普段の食品からとることが基本です。
例えば、練習後におにぎりを食べたり、いつもの食事に卵や納豆を取り入れたりすることも、身体づくりを支える工夫になります。
スポーツ栄養を始めるために、特別なお金をかける必要はありません。
身近な食品を活用しながら、自分の運動量や生活に合った食べ方を考えていくことが大切です。
スポーツは練習を頑張るだけでは強くなれない
スポーツが上達するためには、技術を磨いたり、体力を高めたりする練習が欠かせません。
しかし、練習の成果を身体づくりにつなげるには、食事・睡眠・休養も重要です。
練習で身体に負荷をかけるだけでなく、その後に必要な栄養をとり、十分に休むことが、次の練習に向けたコンディションづくりにつながります。

練習を支えるエネルギーと栄養が必要
スポーツをすると、走る、跳ぶ、投げるといった動作でエネルギーを消費します。
また、筋肉や骨などをつくり、健康な状態を保つためにも栄養が必要です。
例えば、練習量が増えたのに食事量が変わらなければ、消費するエネルギーに対して食事からとるエネルギーが不足することがあります。
一生懸命練習しているからこそ、その練習を支えるだけの食事が必要なのです。
睡眠と休養も身体づくりの大切な要素
スポーツで身体を鍛えるというと、練習時間を増やすことに目が向きがちです。
しかし、筋肉や骨などの身体の組織は、練習中だけでなく、練習後の回復過程でも変化していきます。
睡眠には、身体の回復や心身のコンディションを整える役割があります。
また、疲労がたまっているときには、練習量を調整したり、休養日を設けたりすることも必要です。
思春期のアスリートを対象とした研究でも、睡眠不足とスポーツによるケガのリスクとの関連が報告されています。
練習を頑張ることと同じように、しっかり食べて、眠って、休むことも、スポーツに取り組むうえで欠かせない習慣です。
睡眠について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:寝ることもトレーニング!アスリートの睡眠時間と質を高める食事のポイント
成長期から食事や睡眠を大切にする3つの理由
中高生の時期から食事や睡眠を意識することには、今の競技生活だけでなく、これからの身体づくりにもつながる意味があります。
ここでは、成長期のアスリートに知ってほしい3つの理由を紹介します。
① 身体の成長と競技力の土台を支える
中高生は、身長が伸び、筋肉や骨などが発達する大切な時期です。
大人のアスリートと異なり、成長期の選手はスポーツで消費するエネルギーに加えて、身体が成長するためのエネルギーも必要になります。
中高生の食事は、今の練習だけでなく、成長途中の身体そのものを支えています。
実際に、14〜17歳のバレーボール選手58名と、同年代のスポーツ選手ではない58名を比較した研究があります。
バレーボール選手は、スポーツ選手ではない人よりも多くのエネルギーを食事からとっていました。
しかし、推定される必要量に対する摂取割合は、選手の方が低い結果となりました。
つまり、周りの人よりたくさん食べていても、自分の運動量に対して十分とは限らないのです。

「自分は毎日どれくらい食べればいいんだろう?」
まずは、1日に必要なエネルギー量を知ることから始めてみましょう。
② 栄養不足や回復不足による健康上の問題を知る
食事や睡眠を意識する理由は、競技力の向上だけではありません。
スポーツや日常生活に必要なエネルギーが不足した状態が続くと、骨の健康や身体のさまざまな働きに悪影響が出ることがあります。
また、スポーツによるケガには練習量や身体の使い方など、さまざまな要因が関係しますが、栄養状態や睡眠も無視できない要素です。
「練習を休まず頑張ること」だけが、スポーツに真剣に取り組む姿勢ではありません。
疲労や体調の変化に気づき、必要なときに身体を休めることも、競技を続けるための大切な判断です。
エネルギー不足と骨の健康について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:疲労骨折を繰り返す中高生の食事|3食食べていても足りない?
③ 将来もスポーツを続け、上を目指すための習慣になる
中高生のうちから食事や睡眠に関心を持つことは、高校や大学、さらにその先でスポーツを続ける際にも役立ちます。
実際に、日本の柔道オリンピックメダリスト3名を対象とした研究では、小中学生の頃に家庭で用意されていた食事が、その後の食習慣の変化に一定の影響を与えていたことが報告されています。
また、子どもや中高生のスポーツ選手を対象とした研究でも、食事や栄養について学ぶことで、栄養に関する知識が増える傾向が報告されています。
強くなってから食事を考え始めるのではなく、今から自分の身体に必要な食べ方を学んでいくことにも意味があるのです。
今はまだ全国大会に出ていなくても、プロを目指していなくても関係ありません。
これからどこまで成長できるか分からないからこそ、今の自分の身体を大切にしてほしいのです。
スポーツ栄養は今日から実践できる
スポーツ栄養を始めるために、難しい栄養計算や特別な食事メニューを用意する必要はありません。
まずは普段の食事や生活を振り返り、自分にできることを一つずつ取り入れてみましょう。
① まずは普段の食事を振り返る
最初に確認したいのは、毎日の食事が自分の運動量や生活に合っているかどうかです。
例えば、次のようなことを振り返ってみましょう。
- 朝食を抜いていないか
- 練習量が増えたのに、食事量は変わっていないことはないか
- ご飯やパンなどの主食を十分に食べているか
- 肉や魚、卵、大豆製品などのおかずを食べているか
- 練習後に疲れが残りやすくなっていないか
食事の内容だけでなく、自分の身体や運動量に合った量を食べられているかも大切なポイントです。
食事量が足りているか気になったら、1日に必要なエネルギー量についても調べてみましょう。
② 練習前後の食事や補食を工夫する
学校が終わってから部活動やクラブチームの練習に参加する場合、昼食から夕食まで長い時間が空くことがあります。
そんなときに役立つのが「補食」です。
補食とは、3回の食事だけでは不足しがちなエネルギーや栄養素を補うために、食事の間にとるものです。
例えば、放課後の練習前におにぎりやバナナを食べたり、練習後すぐに夕食を食べられない場合に軽食を用意したりする方法があります。
練習時間に合わせて食べるタイミングを工夫することも、スポーツ栄養の実践の一つです。
補食の選び方や食べるタイミングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド
③ 睡眠と休養の時間を確保する
食事を見直すとともに、自分の睡眠時間や疲れの状態にも目を向けてみましょう。
まずは、普段何時に寝て、何時に起きているかを振り返ってみてください。
睡眠時間が短くなっている場合は、夜のスマートフォンの使用時間や就寝時間を見直すことから始められます。
練習や勉強で忙しい中高生だからこそ、睡眠や休養の時間も生活の予定に組み込むことが大切です。
毎日すべてを完璧にする必要はありません。
自分が取り組みやすいことから始めてみましょう。
まとめ|スポーツ栄養は、強くなるために今から始められる

スポーツ栄養は、プロ選手や強豪校の選手だけが取り組むものではありません。
今、部活動やクラブチームでスポーツを頑張っている中高生にも、食事や睡眠を見直す意味があります。
まずは、自分の食事量が足りているか振り返ったり、練習前後の補食を工夫したりすることから始めてみましょう。
強くなってから食事を考えるのではなく、強くなるために今から食事を考える。
これからどんな選手になりたいか、どこまで成長できるかは、まだ分かりません。
だからこそ、今の自分の身体を大切にして、これからの可能性を広げていきましょう。
参考文献
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発行元:International Journal of Sport Nutrition and Exercise Metabolism(2014年)
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https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3805623/
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発行元:British Journal of Sports Medicine(2023年)
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Sleep, Nutrition, and Injury Risk in Adolescent Athletes: A Narrative Review
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発行元:Frontiers in Nutrition(2026年)
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わが国の柔道リオオリンピックメダリストの食行動変容に影響を与えた要因
発行元:体育学研究(2020年)
著者:大柴由紀、清野隼、尾縣貢
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/65/0/65_19121/_article/-char/ja/
Energy Expenditure, Dietary Energy Intake, and Nutritional Supplements in Adolescent Volleyball Athletes versus Nonathletic Controls
発行元:Nutrients(2023年)
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10096554/

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。








