
「ジャンプすると膝が痛い」「練習後に膝のお皿の下が痛む」といった症状はありませんか?
バスケットボールやバレーボールなど、ジャンプや着地を繰り返す競技では、「ジャンパー膝(ジャンパーズニー)」と呼ばれる膝の障害がみられることがあります。
ジャンパー膝への対策というと、ストレッチやトレーニングを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、成長期のアスリートでは、日々の練習に加えて体の成長にも多くのエネルギーや栄養素が必要です。
この記事を読めば、ジャンパー膝の原因や予防、成長期に意識したい食事のポイントが分かります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。
Contents
ジャンパー膝(ジャンパーズニー)とは?
ジャンパー膝は、膝のお皿である「膝蓋骨(しつがいこつ)」と、すねの骨をつなぐ膝蓋腱周辺に痛みが生じるスポーツ障害です。
一般には「膝蓋腱炎」と呼ばれることもあります。
膝蓋腱は、太ももの前側にある筋肉から伝わる力をすねへ伝え、膝を伸ばしたり、ジャンプしたりするときに重要な役割を担っています。

バスケやバレーなどジャンプ競技でみられやすい
ジャンパー膝は、その名前のとおり、ジャンプや着地を繰り返すスポーツで起こりやすい膝のケガです。
2023年に複数の研究をまとめた報告では、スポーツをしている人の18.3%、18歳未満では10.1%にジャンパー膝がみられました。
競技別では、バスケットボール選手で20.8%、バレーボール選手で24.8%と、ジャンプを繰り返す競技で多くみられています。
バスケやバレーなどをしていて膝のお皿の下が痛む場合は、「いつものこと」と我慢せず、膝に負担がかかりすぎていないか確認することが大切です。
ジャンパー膝はなぜ起こる?
ジャンパー膝は、膝蓋腱に繰り返し大きな負担がかかることと関係しています。
ジャンプの踏み切りや着地では、膝蓋腱に大きな力がかかります。
こうした動作を練習や試合で何度も繰り返すことで、膝への負担が積み重なります。
練習量だけが原因ではない
ジャンパー膝は、「ジャンプをしすぎたから」とひとつの原因だけで説明できるものではありません。
練習量や競技レベル、筋力や柔軟性など、さまざまな要因が関係すると考えられています。
そのため、ひとつの対策だけに頼るのではなく、練習による負担や体の状態を総合的に考えることが大切です。
成長期の膝の痛みを「成長痛」で済ませない
中高生では、ジャンパー膝以外にもオスグッド・シュラッター病など、成長期にみられる膝の障害があります。
痛む場所や原因によって必要な対応は異なるため、「成長期だから仕方ない」と自己判断しないことが大切です。
痛みが続く場合や、ジャンプ・走る動作などに支障がある場合は、整形外科などの医療機関を受診しましょう。
ジャンパー膝の予防では「負担と回復」のバランスが大切

ジャンパー膝を予防するには、膝にかかる負担と回復のバランスを整えることが重要です。
大会前や強化練習などで急に練習量が増えると、膝への負担も大きくなります。練習時間だけでなく、ジャンプやダッシュなど、膝に負担の大きい動作がどのくらい増えているかにも目を向けましょう。
練習後に疲れや痛みが残っているときは、そのまま無理を重ねないことも大切です。
練習量を調整したり、休養をとったりして、膝を回復させる時間を確保しましょう。
ジャンパー膝の予防にストレッチは必要?
ジャンパー膝の予防というと、太もものストレッチを思い浮かべる方も多いでしょう。
柔軟性は体の状態を整えるうえで大切ですが、ジャンパー膝はストレッチだけで予防できるものではありません。
練習量やジャンプ・着地による負担、筋力など、さまざまな要因をあわせて考えることが大切です。
すでに膝に痛みがある場合は、自己流でストレッチやトレーニングを続けず、医師や理学療法士などに相談しながら進めましょう。
ジャンパー膝では「筋肉」だけでなく「腱の栄養」にも注目
ジャンパー膝への対策では、練習量の調整や適切なリハビリが基本です。
そのうえで、食事から体の回復を支えるときに注目したいのが「腱」です。
スポーツ後の栄養というと、「筋肉のためにたんぱく質をとる」というイメージが強いかもしれません。
しかし、ジャンパー膝は筋肉ではなく、膝蓋腱に負担がかかるスポーツ障害です。
そのため、筋肉の回復だけでなく、腱をつくる材料にも目を向けてみましょう。
まずは成長と練習に必要なエネルギーを確保する
中高生アスリートは、日常生活だけでなく、体の成長や部活・クラブチームの練習にも多くのエネルギーを使います。
必要なエネルギーが不足しないよう3食を基本とし、食事だけではとりきれない場合は補食を活用しましょう。
補食の選び方や食べるタイミングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説
膝蓋腱の材料となるコラーゲンにも注目
膝蓋腱には、コラーゲンが多く含まれています。
肉・魚・卵・乳製品・大豆製品などからたんぱく質をとることを基本にしながら、腱に大きな負担がかかるアスリートでは、コラーゲンにも目を向けてみましょう。
近年では、運動とコラーゲン摂取を組み合わせることで、腱の健康を栄養面からサポートできないか研究が進められています。
コラーゲンづくりに必要なビタミンCも一緒に
ビタミンCは、体内でコラーゲンをつくるときに必要な栄養素です。
キウイフルーツ、いちご、みかんなどの果物や、ピーマン、ブロッコリーなどの野菜に多く含まれています。
コラーゲンを意識するときは、ビタミンCを含む食品も日頃の食事に取り入れましょう。

ジャンパー膝でもコラーゲンに注目する理由
ジャンパー膝で負担がかかる膝蓋腱は、コラーゲンを多く含む組織です。
2026年に発表された複数の研究をまとめた報告では、運動とコラーゲン摂取を組み合わせることで、腱の太さや硬さなどに、よい変化をもたらす可能性が示されています。
さらに、ジャンパー膝のあるアスリートを対象に、リハビリに「コラーゲン+ビタミンC」を組み合わせることで、回復をさらにサポートできるかを調べる研究も行われています。
ジャンプや着地を繰り返し、膝蓋腱に大きな負担がかかるアスリートでは、毎日の食事を整えたうえで、コラーゲンを含む栄養補給にも注目してみましょう。
腱にコラーゲンが重要な理由や、運動とコラーゲンの関係について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:筋トレでケガを防ぐには?腱・靭帯を守るコラーゲンの重要性
よくある質問
ジャンパー膝は成長痛ですか?
ジャンパー膝と、一般に「成長痛」と呼ばれる痛みは同じものではありません。
また、中高生の膝の痛みには、オスグッド・シュラッター病など、ほかのスポーツ障害が関係している場合もあります。
「成長期だから」と自己判断せず、痛みが続く場合は医療機関で原因を確認しましょう。
ジャンパー膝ならプロテインを飲んだほうがいいですか?
プロテインは、たんぱく質を補うための食品です。
まずは肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、普段の食事から必要なたんぱく質をとることを基本にしましょう。
食事だけでは不足する場合は、プロテインなどの補助食品を活用する方法もあります。
ジャンパー膝はどのくらいで治りますか?
ジャンパー膝が治るまでの期間は、症状の程度や練習量などによって異なります。
痛みを我慢して練習を続けるのではなく、膝への負担を調整しながら回復を目指すことが大切です。
痛みが長引いている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
まとめ|ジャンパー膝対策では「腱の栄養」にも目を向けよう

ジャンパー膝(ジャンパーズニー)は、ジャンプや着地を繰り返すアスリートにみられる膝のスポーツ障害です。
特にバスケットボールやバレーボールなど、ジャンプ動作の多い競技でみられます。
予防や回復では、練習による負担を調整し、適切な治療やリハビリを行うことが大切です。
食事では、成長と練習に必要なエネルギーやたんぱく質を確保するとともに、膝蓋腱を構成するコラーゲンや、コラーゲンづくりに必要なビタミンCにも目を向けてみましょう。
毎日の練習を頑張る体をつくるのも、日々の食事です。
しっかり食べて体を整え、思いきりスポーツを続けられる体をつくっていきましょう!
参考文献
Epidemiology of Patellar Tendinopathy in Athletes and the General Population: A Systematic Review and Meta-analysis
発行元:Orthopaedic Journal of Sports Medicine
著者:Sebastiano Nutarelli et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37347023/
Modifiable risk factors for patellar tendinopathy in athletes: a systematic review and meta-analysis
発行元:British Journal of Sports Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30054341/
Collagen Supplementation on Tendon-Related Structural and Performance Outcomes: A Systematic Review
発行元:Journal of Functional Morphology and Kinesiology
著者:Hunt ER, et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41900537/
The JUMPFOOD study: additional effect of hydrolyzed collagen and vitamin C to exercise treatment for patellar tendinopathy (jumper’s knee) in athletes-study protocol for a double-blind randomized controlled trial
発行元:Trials
著者:L van Dam et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38017500/

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。









