
「疲労骨折を繰り返しているけど、食事も関係している?」
「カルシウムは意識しているのに、どうしてまた疲労骨折するんだろう?」
疲労骨折を繰り返すと、「カルシウムが足りないのかな?」と考える方もいるかもしれません。
もちろん、疲労骨折には練習量や体の状態などさまざまな要因が関係するため、食事だけが原因とは限りません。
ただし、食事・栄養の面で見落としたくないのが「食べる量」です。
運動量の多い中高生アスリートでは、カルシウムなどの栄養素を意識していても、成長と運動に必要なエネルギーそのものが不足していることがあります。
この記事を読めば、疲労骨折を繰り返す中高生が、食事・栄養の面から見直したいポイントが分かります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。
Contents
「骨のためにカルシウム」だけでは足りない
カルシウムは、骨の健康に欠かせない栄養素です。
しかし、疲労骨折予防のための食事を「カルシウムを摂ればOK」と考えるのは十分ではありません。
骨の健康には、カルシウムだけでなく、骨の土台となるⅠ型コラーゲンなどのたんぱく質や、ビタミンDなど、さまざまな栄養素が関わっています。
さらに、成長期アスリートで見落としたくないのが、そもそものエネルギー不足です。
日本陸上競技連盟では、エネルギーが不足すると骨をつくる「骨形成」が低下し、骨密度の低下につながる可能性があるとしています。
つまり、「骨のために何を食べるか」だけでなく、成長と運動に見合った量を食べられているかも確認することが大切です。
なお、疲労骨折には食事以外にもさまざまな要因が関係します。
この記事では、そのなかでも食事・栄養の面に絞って解説します。
骨の構造やⅠ型コラーゲンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:疲労骨折の構造的原因と早期回復に不可欠な「Ⅰ型コラーゲン」の真実
3食食べていても「量」が足りないことがある
「朝・昼・夕の3食を食べているから、エネルギー不足ではない」とは限りません。
成長期のアスリートは、日常生活や運動だけでなく、体が成長するためにもエネルギーが必要です。
必要な量は年齢や性別、体格、成長、練習内容などによって変わります。
そのため、大切なのは「1日3回食べたか」だけではありません。
今の成長と活動量に見合った量を食べられているかという視点で考えることが大切です。

たとえば、中学生から高校生になって練習時間や強度が上がったのに、食事量は中学生のころとほとんど変わっていないケースです。
毎日3食食べていても、成長や練習によって必要量が増えれば、食べる量が追いつかなくなることがあります。
「ちゃんと食べているつもり」になりやすい5つのパターン
「食事には気をつけています」という家庭でも、食事の回数やバランスに目が向き、量の不足を見落としていることがあります。
次のような食べ方になっていないか、普段の生活を振り返ってみましょう。
1.朝食は食べているけれど量が少ない
朝は時間がなかったり、起きたばかりで食欲がわかなかったりして、十分な量を食べられないこともあります。
朝食も、1日に必要なエネルギーを摂るための大切な1食です。
毎日朝食を食べていても、気づかないうちに量が少ない日が続くと、1日全体で必要なエネルギーを確保しにくくなることがあります。
「朝食を食べたか」だけでなく、今の成長や活動量に合った量を食べられているかという視点でも振り返ってみましょう。
2.給食・昼食から夕食まで何も食べない
12時ごろに給食やお弁当を食べ、放課後はそのまま部活動へ。
帰宅してから夕食を食べる生活では、昼食から夕食まで長い時間が空くことがあります。
昼食から夕食まで長く空く場合は、昼食も大切なエネルギー補給の機会です。
給食は食べられる範囲でしっかり食べ、お弁当の場合は、午後の授業や部活動も考えて主食などの量を調整してみましょう。
3食だけで必要なエネルギーを確保するのが難しい場合は、生活スケジュールに合わせて補食を活用するのもひとつの方法です。
補食について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説
3.おかずはそろっているけれど主食が少ない
肉や魚、野菜、牛乳などがそろっていると、見た目にはバランスのよい食事に見えます。
一方で、ごはんなどの主食が少なくなっていないでしょうか。
日本陸上競技連盟では、疲労骨折予防の観点から「ごはん(主食)を食べない」といった誤った減量を避けるよう示しています。
主食は、体を動かすための重要なエネルギー源です。
骨の健康を考えるときも、カルシウムを含む食品だけでなく、食事全体で必要なエネルギーを確保することを意識しましょう。
4.練習量が増えても食事量は変わっていない
練習時間が長くなった、朝練が始まった、週末の練習が増えた。
活動量が増えれば、必要なエネルギー量も変わります。
ところが、食事量や補食が以前と同じままだと、知らないうちに「使う量」と「食べる量」の差が広がることがあります。
特に中学から高校への進学など、生活や練習環境が大きく変わったタイミングでは、食事量も一緒に見直してみましょう。
5.体重を気にして食べる量を控えている
「体を軽くしたい」
「体重が増えるのが気になる」
「ごはんを減らしたほうがいいかも」
競技のために体重を意識することが、食事量を減らすきっかけになることがあります。
しかし、成長期には体の成長そのものにもエネルギーが必要です。
運動量が多いのに食べる量が少ない状態が続くと、体を動かしたり成長したりするためのエネルギーが足りなくなることがあります。
このようなエネルギー不足は、骨の健康や成長などにも影響する可能性があります。
スポーツの分野では「RED-S(スポーツにおける相対的エネルギー不足)」と呼ばれ、女子だけでなく男子にも起こります。
「3食食べているから大丈夫」で終わらず、1日の食べ方を見直そう
家庭で毎日の食事を細かく栄養計算するのは大変です。
まずは、普段の食べ方に次のようなことがないか確認してみましょう。
・朝・昼・夕の主食を極端に減らしていないか
・昼食から夕食まで長時間空いていないか
・練習量が増えたのに、食事量が以前と同じになっていないか
・練習後に疲れて夕食を残す日が続いていないか
・体重を気にして意図的に食事を減らしていないか
ひとつ当てはまったからといって、エネルギー不足と判断できるわけではありません。
大切なのは、「骨のために何を足そう?」と考える前に、今の成長や練習量に対して、1日全体で必要な量を食べられているかを振り返ることです。
朝食が少ないなら朝食全体を見直す、昼食から夕食まで長く空くなら補食を活用するなど、食べる量が少なくなりやすい場面から見直してみましょう。
骨の健康を支える栄養素も不足しないようにしよう
食事の「量」を確保するとともに、骨の健康に関わる栄養素も不足しないようにしましょう。
日本陸上競技連盟では、骨づくりに必要なものとして、エネルギー(糖質)、カルシウム、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKなどを挙げています。
| 栄養素 | 主な食品例 |
|---|---|
| エネルギー(糖質) | ごはん、パン、麺類、果物など |
| カルシウム | 牛乳・乳製品、大豆製品、小魚など |
| たんぱく質 | 肉、魚、卵、大豆製品など |
| ビタミンD | 魚、卵、きのこ類など |
| ビタミンK | 納豆、緑黄色野菜など |
特定の食品だけを増やすのではなく、必要なエネルギーを確保したうえで、さまざまな食品を組み合わせましょう。
疲労骨折と食事についてよくある質問
食事量が足りているかは、体重を見れば分かりますか?
体重だけで判断することはできません。
特に成長期は、身長や体重そのものが変化する時期です。
体重の増減だけを見るのではなく、成長の様子や練習量、普段の食事量などもあわせて考えることが大切です。
学校に補食を持っていけない場合はどうすればいいですか?
学校のルールに従い、1日全体の食事のとり方を見直しましょう。
中学生などでは、学校のルールで補食を持参できない場合があります。
その場合は無理に持参せず、朝食や夕食を含めた1日全体の食事量を見直します。
また、学校や部活動のルールの範囲で、補食をとれるタイミングがあるか確認してみましょう。
まとめ|「何を食べる?」の前に「足りている?」も確認しよう

疲労骨折予防の食事というと、カルシウムやビタミンDなど「何を食べるか」に注目しがちです。
もちろん、骨の健康に必要な栄養素を摂ることは大切です。
しかし、運動量の多い中高生アスリートでは、成長と運動に見合った量を食べられているかという視点も欠かせません。
「3食食べているから大丈夫」と考えるのではなく、朝食の量、主食、補食、練習量の変化など、1日の食べ方を一度振り返ってみましょう。
参考文献
競技者育成プログラム 2026
発行元:公益財団法人日本陸上競技連盟
https://www.jaaf.or.jp/pdf/development/program/A3_2026.pdf
JFA栄養ガイドライン
発行元:公益財団法人日本サッカー協会
https://www.jfa.jp/medical/a08.html

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。








