スポーツで結果を出す人はやっている!メンタルを整える方法を管理栄養士が解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

「試合前になると不安になる」「ミスをするとイライラする」「プレッシャーに負けそう」「最近、練習へのやる気が出ない」。
スポーツをしていると、さまざまなメンタルの変化を感じることがあります。
そんなとき、「もっとメンタルを強くしなきゃ」と気持ちだけで乗り越えようとしていませんか?

実は、スポーツのメンタルを整えるには、心理面だけでなく食事・睡眠・疲労など、体のコンディションを見直すことも大切です。

この記事を読めば、スポーツで自分の力を発揮するためのメンタルの整え方と、毎日の食事でできることが分かります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • スポーツでメンタルを整えることが大切な理由
  • イライラ・不安・プレッシャー・やる気が出ないときに確認したいこと
  • スポーツのメンタルを整えるための食事と栄養
  • 練習や試合でできるメンタルの整え方

スポーツのメンタルは「気持ち」だけの問題ではない

「メンタルが強い選手」と聞くと、「緊張しない」「プレッシャーに強い」といったイメージを持つかもしれません。
しかし、緊張や不安を感じること自体が「メンタルが弱い」ということではありません。

また、「メンタルが整わない」といっても、その状態は人によって違います。

  • イライラする:ミスや周囲の言葉がいつも以上に気になる
  • 不安になる:「失敗したらどうしよう」と考えてしまう
  • プレッシャーを感じる:「絶対に勝たないと」と結果が気になる
  • やる気が出ない:練習に行きたくない、以前ほど楽しめない
  • 集中できない:練習や試合で注意が続かない

大切なのは、すべてを同じ「メンタルの弱さ」として考えないことです。

不安やプレッシャーが大きいときには心理面から、疲労や集中力の低下、やる気の低下があるときには睡眠・疲労・食事など体のコンディションからも原因を探してみましょう。

メンタルを整える第一歩は、「もっと強くならなきゃ」と自分を追い込むことではなく、今の自分に何が起きているのかを知ることです。

メンタルが整わないときは、不安やプレッシャーなどの心の状態だけでなく、食事・疲労・睡眠・水分など体の状態も確認することが大切。

スポーツのメンタルを整える食事|まずは「足りている?」をチェック

「心を落ち着かせる食べ物はある?」と気になる人もいるでしょう。
しかし、アスリートが最初に確認したいのは、特別な食品ではありません。
まずは、練習量に対して必要なエネルギーを摂れているかを確認しましょう。

①やる気が出ない・疲れやすいならエネルギー不足にも注意

「練習量が増えたのに食事量は以前と同じ」「体重を気にして主食を減らしている」といったことはありませんか?

アスリートは、運動でたくさんのエネルギーを使います。
そのため、食べる量が運動量に追いつかない状態が続くと、体を動かしたり回復したりするためのエネルギーが足りなくなることがあります。

練習や試合で多くのエネルギーを使う一方、食事量が足りないと低エネルギー利用可能性(LEA)につながり、疲労や気分、パフォーマンスに影響する可能性がある。

このように、運動後に体の働きに使えるエネルギーが不足した状態を「低エネルギー利用可能性(LEA)」といいます。
エネルギー不足が続くと、健康やスポーツパフォーマンスだけでなく、気分など心理面にも影響する可能性があります。
特に中学生・高校生などの成長期は、運動だけでなく体の成長にもエネルギーが必要です。

「最近やる気が出ない」「なんとなく疲れやすい」と感じたら、気持ちだけの問題と考える前に、
「練習量に見合った量を食べられている?」
と振り返ってみましょう。
3回の食事だけでは足りない場合は、補食を活用する方法もあります。

補食の選び方や食べるタイミングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説

②集中できないときは「最後に食べた時間」を確認しよう

夕方の部活動で「途中から集中できない」「なんとなく力が出ない」という経験はありませんか?
たとえば、昼食が12時、部活動が16~18時なら、昼食から練習終了まで6時間ほど空きます。

そんな日は練習時間や運動量に合わせて、

  • おにぎり
  • バナナ
  • パン
  • カステラ
  • ヨーグルト

などの補食を取り入れることも選択肢です。

「集中できない=集中力がない」と決めつける前に、
「最後に食べたのは何時?」
と確認してみましょう。

また、運動中は食事だけでなく水分補給も欠かせません。

スポーツ中の水分補給について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:熱中症対策の水分補給とは?運動・部活で役立つ飲み方・タイミング・飲み物を管理栄養士が解説

③疲れやすいアスリートは「鉄」にも注目

「最近疲れやすい」「以前より体が重い」と感じるときに確認したい栄養素のひとつがです。

鉄は赤血球中のヘモグロビンの材料となり、全身に酸素を運ぶために欠かせません。
特に成長期や月経のある女性アスリートなどでは、鉄不足に注意が必要です。

鉄を多く含む食品には、赤身の肉、レバー、かつお、まぐろ、あさりなどがあります。

鉄不足や鉄欠乏性貧血では疲労感などが現れることがあります。
そのため、「疲れて集中できない」「最近やる気が出ない」ときに、すべてをメンタルの問題として片付けないことも大切です。

ただし、自己判断で鉄のサプリメントを使用するのは避け、気になる症状が続く場合は医療機関などに相談しましょう。

④セロトニンの材料「トリプトファン」は特別に摂らなくても大丈夫?

メンタルについて調べると、「セロトニン」という言葉を目にすることがあります。
セロトニンは気分などに関わる神経伝達物質で、その材料となる必須アミノ酸がトリプトファンです。

トリプトファンは、

  • 肉・魚
  • 牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
  • 豆腐・納豆などの大豆製品

など、普段食べている食品にも含まれています。

では、「セロトニンのためにバナナを食べよう」「トリプトファンが多い食品をたくさん食べよう」と考える必要があるのでしょうか?

トリプトファンを含む特定の食品だけを狙って食べる必要はありません。

食事から摂ったトリプトファンが脳に取り込まれる仕組みには、ほかのアミノ酸などさまざまな要因が関わります。そのため、「トリプトファンを食べればセロトニンが増えて、メンタルが強くなる」と単純には考えられません。

それよりも、

ごはん+魚+みそ汁
ごはん+肉+豆腐
パン+卵+ヨーグルト

のように、主食とたんぱく質を含む食品を日頃から食べることを意識しましょう。
「メンタルにいい特別な食品」を探さなくても、普段の食事からトリプトファンを含む体に必要な材料を摂ることができます。

スポーツのメンタルを整えるために食事以外でできること

食事を整えても、不安やプレッシャーがすべてなくなるわけではありません。
心理面には心理面からのアプローチも取り入れましょう。

①結果より「今できること」に集中する

「絶対に勝たないと」「失敗したらどうしよう」と考え続けると、結果ばかりが気になってしまいます。

そんなときは、

「最初のプレーに集中する」
「最後まで声を出す」
「次は○○を意識する」

など、自分でコントロールできる行動に意識を戻してみましょう。

②ミスした後の「切り替え方」を決めておく

試合で一度もミスをしないようにするのは難しいものです。

  • 一度ゆっくり呼吸する
  • 「次!」と心の中で言う
  • 次にやることをひとつ決める

など、自分なりの切り替え方を準備しておきましょう。

「ミスしない準備」だけでなく、「ミスしても戻ってこられる準備」をしておくことがポイントです。

③睡眠と休養を削らない

やる気が出ないときに、練習量を増やすことだけが答えではありません。
疲労が抜けない、睡眠不足が続く、以前よりパフォーマンスが低下している場合は、まず「ちゃんと回復できている?」と確認してみましょう。

アスリートの睡眠について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:寝ることもトレーニング!アスリートの睡眠時間と質を高める食事のポイント

また、疲労やパフォーマンス低下、やる気の低下などが続く場合は、オーバートレーニングにも注意が必要です。
▶ 関連記事:頑張りすぎが逆効果?オーバートレーニングの症状・原因・回復・予防を管理栄養士が解説

試合で緊張したときは「なくす」より「戻す」

試合前に緊張すると、「緊張しちゃダメ」「落ち着かなきゃ」と思うかもしれません。
しかし、緊張すること自体がメンタルの弱さではありません。

そんなときは、

①ゆっくり呼吸する
②いつものルーティンを行う
③「勝てるかな?」ではなく「最初に何をする?」を考える

など、結果から目の前の行動へ意識を戻してみましょう。

スポーツとメンタル・食事についてよくある質問(FAQ)

Q. チョコレートやカカオポリフェノールでメンタルは整う?

A. カカオに含まれるポリフェノール(フラバノール)は、認知機能や気分との関係が研究されています。
ただし、チョコレートを食べれば不安がなくなったり、メンタルが強くなったりするわけではありません。
好きな食品として楽しみつつ、メンタルを整えるためには、普段の食事や睡眠、疲労状態にも目を向けましょう。

Q. カフェインを摂れば集中力は高まる?

A. カフェインには覚醒作用があります。
一方で、思春期のカフェイン摂取は、睡眠時間の短縮との関連が報告されています。
特に中高生は「集中したいから」とエナジードリンクに頼る前に、睡眠不足になっていないか、食事や補食が足りているかを確認しましょう。

Q. 試合前に緊張して食欲がないときはどうすればいい?

緊張して食欲がないときは、無理に普段と同じ量を食べようとしなくても大丈夫です。
おにぎりやパン、バナナ、ゼリー飲料など、食べやすく消化の負担が少ないものからエネルギーを補給しましょう。
試合当日に慌てないよう、「緊張していても食べやすいもの」を普段から見つけておくのもおすすめです。

まとめ|スポーツのメンタルは心と体の両方から整えよう

スポーツのメンタルは、「気合い」だけで強くするものではありません。
イライラや不安、プレッシャー、やる気や集中力の低下を感じたときは、心だけでなく体のコンディションにも目を向けてみましょう。

メンタルを整えるために、次の3つを意識してみてください。

  • 練習量に見合ったエネルギーと必要な栄養を摂る
  • 睡眠・休養を確保し、疲労をため込まない
  • 不安やプレッシャーを感じたら、今できる行動に意識を戻す

食事・休養・気持ちの切り替えを整えることは、どれも自分の力を発揮するための大切な準備です。
「メンタルが弱い」と決めつけず、今の自分に必要なものは何かを考えてみましょう。

今日から1つだけやるなら

メンタルが整わないと感じたら、まずは「最後に食べたのは何時?」と振り返ってみましょう。
食事から時間が空いていたら、練習時間や運動量に合わせて補食を取り入れてみてください。

気持ちを強くしようとする前に、まずは体に必要なエネルギーを届けることから始めてみましょう。

参考文献

2023 International Olympic Committee’s (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs)
発行元:British Journal of Sports Medicine
著者:Mountjoy M, et al.
https://bjsm.bmj.com/content/57/17/1073

Intersection of mental health issues and Relative Energy Deficiency in Sport (REDs): a narrative review by a subgroup of the IOC consensus on REDs
発行元:British Journal of Sports Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37752005/

Dietary effects on brain serotonin synthesis: relationship to appetite regulation
発行元:The American Journal of Clinical Nutrition
著者:Fernstrom JD
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/4061359/

Anemia in Sports: A Narrative Review
発行元:Life
著者:Damian MT, Vulturar R, Login CC, Damian L, Chis A, Bojan A
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8472039/

Sleep and the athlete: narrative review and 2021 expert consensus recommendations
発行元:British Journal of Sports Medicine
著者:Walsh NP, et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33144349/

Effects of chocolate on cognitive function and mood: a systematic review
発行元:Nutrition Reviews
著者:Scholey A, Owen L.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24117885/

Caffeine and Sleep in Adolescents: A Systematic Review
発行元:Journal of Caffeine Research
著者:Bonnar D, Gradisar M
PubMed

執筆者:丸井 遥

管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。

病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。

また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。

コメントを残す

*