寝ることもトレーニング!アスリートの睡眠時間と質を高める食事のポイント

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「練習や食事には気をつけているけれど、睡眠時間は削ってしまう」「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」。
そんな経験はありませんか?

アスリートにとって、睡眠はただ体を休めるだけの時間ではありません。
疲労回復やコンディショニング、スポーツのパフォーマンスを支える大切な時間です。
また、睡眠は時間だけでなく、毎日の生活習慣や食事も関係しています。

この記事を読めば、アスリートに必要な睡眠時間や睡眠不足による影響、睡眠の質を整える生活習慣・食事のポイントが分かります!
管理栄養士・スポーツ栄養プランナーが分かりやすく解説します。

この記事でわかること

  • アスリートに睡眠が重要な理由
  • 中学生・高校生などに必要な睡眠時間
  • 睡眠不足とパフォーマンス・ケガの関係
  • 睡眠の質を整える生活習慣
  • アスリートの睡眠を支える食事・栄養のポイント

アスリートに睡眠が重要な理由|寝ることもトレーニングのひとつ

アスリートというと、練習や筋力トレーニング、食事に目が向きがちですが、睡眠もコンディショニングに欠かせない要素のひとつです。

日々の練習や試合で体に負荷をかけたら、次のトレーニングに向けて心身を休ませる時間も必要です。
特に中学生・高校生は、スポーツだけでなく体が成長する時期でもあります。

つまり、
トレーニング → 食事 → 睡眠・休養 → 次のトレーニング
までがひとつのサイクル。

「練習時間を増やすために睡眠時間を削る」のではなく、しっかり休むことまで含めてトレーニングと考えてみましょう。

オーバートレーニングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:頑張りすぎが逆効果?オーバートレーニングの症状・原因・回復・予防を管理栄養士が解説

トレーニング、食事、睡眠・休養、次のトレーニングへと続くアスリートの回復サイクル。練習後に栄養を補給し、睡眠・休養で心と体を休める「回復までがトレーニング」という考え方を示した図。

アスリートに必要な睡眠時間はどのくらい?

「アスリートは何時間寝ればいいの?」と気になる人も多いでしょう。

必要な睡眠時間には個人差がありますが、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、年齢に応じて必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。
中学生・高校生にあたる年代では、8~10時間を参考に、必要な睡眠時間を確保しましょう。

朝練や部活、塾などで忙しい中高生は、起床時間から逆算して寝る時間を決めるのがおすすめです。
たとえば朝6時に起きる場合、8時間眠るためには22時には眠っている必要があります。

アスリートに必要な睡眠時間の目安。小学生は9~12時間、中学生・高校生は8~10時間、成人は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保。朝6時に起きる中高生の場合、22時に就寝すると8時間の睡眠を確保できる例を紹介。

睡眠時間だけでなく「睡眠の質」も大切

睡眠は時間だけでなく、十分に休養できているかも大切です。

  • 朝、しっかり休めた感じがあるか
  • 日中に強い眠気がないか
  • 疲労感が続いていないか

必要な睡眠時間を確保したうえで、翌日の体調にも目を向けてみましょう。

睡眠不足はアスリートのパフォーマンスやケガに影響する?

テニス肘

「少しくらい寝不足でも、練習すれば大丈夫」と思っていませんか?
アスリートの睡眠不足は、パフォーマンスだけでなく、ケガとの関連も報告されています。

睡眠不足でパフォーマンスが低下する可能性

睡眠不足は、集中力や判断力、反応などスポーツに必要な能力に影響する可能性があります。
ただし、必要な睡眠時間には個人差があります。

「○時間未満なら必ずパフォーマンスが落ちる」と考えるのではなく、普段の睡眠時間や翌日の体調・パフォーマンスをセットで確認することが大切です。

睡眠不足とスポーツのケガの関係

12~18歳の学生アスリートを対象とした研究では、平均睡眠時間が8時間未満だった選手は、8時間以上眠っていた選手よりケガを経験している割合が高かったことが報告されています。
また、複数の研究結果をまとめて分析した報告でも、慢性的に睡眠状態がよくない青年は、スポーツ傷害や筋肉・骨・関節などのケガのリスクが高い傾向が示されました。

もちろん、睡眠不足だけでケガをするわけではありません。練習量や疲労、栄養状態、競技環境など、さまざまな要因が関係します。
それでも、ケガの予防を考えるうえで睡眠も見直したいポイントです。

アスリートが睡眠の質を整えるためにできること

睡眠時間を確保できたら、次は睡眠の質を整える生活習慣や食事にも目を向けてみましょう。

起きる時間と寝る時間をできるだけ整える

平日は早起きなのに、休日は昼まで寝ている……という生活になっていませんか?

厚生労働省は、こどもの睡眠について、朝は太陽の光を浴び、朝食をとり、日中は運動し、夜ふかしを習慣化しないことを勧めています。

生活時間を大きくずらさず、まずは毎日の起床時間をできるだけ整えることから始めてみましょう。

寝る前のスマートフォンや光に注意する

「布団に入ってからSNSをチェックしていたら、いつの間にか1時間……」という人は要注意です。
夜間にスマートフォンなどの強い光を浴びることは、体内時計や眠りに影響する可能性があります。

寝る直前までスマートフォンを見る習慣がある場合は、「寝る30分前にはスマートフォンを置く」など、自分が続けられるルールを決めてみましょう。

アスリートの睡眠の質を支える食事・栄養のポイント

アスリートの睡眠を考えるとき、意外と見落としやすいのが食事です。
「これを食べればぐっすり眠れる」という特別な食品があるわけではありません。
まずは3食を基本に、できるだけ食事のリズムを整えましょう。

一方で、アスリートを対象とした研究では、食事の内容やタイミング、カフェインなどが睡眠に影響する可能性が報告されています。
睡眠時間だけでなく、毎日の食事のとり方にも目を向けてみましょう。

夜遅い練習後は消化のよい食事を意識する

部活やクラブチームの練習が終わり、帰宅したら21時。
「こんな時間にしっかり食べても大丈夫?」「寝る直前に食べるとよくない?」と迷うこともあるでしょう。

しかし、練習後の体にはエネルギーや栄養素の補給が必要です。
就寝までの時間が短い日は、胃腸への負担も考えて、食べる量や内容を工夫しましょう。

  • 練習前におにぎりやバナナなどを食べておく「分食」を活用する
  • 帰宅後は食べる量を調整する
  • 揚げ物など脂質の多い料理は控えめにする
  • 消化のよい食品や調理法を選ぶ
  • 急いで食べず、よく噛む

たとえば、帰宅後はご飯+魚+具だくさんの汁物など、主食・主菜・野菜を組み合わせた食事もおすすめです。

「夜遅いから食べない」ではなく、練習時間や寝る時間に合わせて、食べるタイミング・量・内容を調整することを意識しましょう。

アスリートの補食について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
▶ 関連記事:スポーツ選手の補食おすすめガイド|必要性・タイミング・量を管理栄養士が解説

夜遅い練習後の食事で意識したい、タイミング・量と脂質・消化のよい食事の3つのポイント

カフェインを摂る時間に注意する

眠気覚ましに、コーヒーやエナジードリンクを飲む人もいるでしょう。
カフェインには眠気を抑える作用があるため、夕方以降にとると睡眠に影響する可能性があります。
特に夜に練習するアスリートは、コーヒーやエナジードリンクだけでなく、カフェインを含むサプリメントにも注意が必要です。

「何を飲んだか」だけでなく、「何時に飲んだか」も確認してみましょう。

トリプトファンは毎日の食事からとろう

トリプトファンは、体の中でつくることができない「必須アミノ酸」のひとつです。
眠りに関わるホルモン「メラトニン」をつくる材料になります。
肉や魚、卵、乳製品、大豆製品など、身近なたんぱく質食品に含まれています。

ただし、トリプトファンだけをたくさんとれば、よく眠れるというわけではありません。
メラトニンがつくられるまでには、ほかの栄養素も関わっています。

寝る直前にまとめてとる必要はありません。

たとえば朝食がパンだけなら、
パンだけ → パン+卵+ヨーグルト
のように、トリプトファンを含む食品を1品プラスしてみましょう。

「これを食べれば眠れる」と考えすぎない

睡眠について調べると、「トリプトファンを摂れば眠れる」「この食品を食べれば睡眠の質が上がる」といった情報を見かけることがあります。
確かに、トリプトファンを多く含むたんぱく質や炭水化物など、睡眠との関連が研究されている食品・栄養素はあります。

しかし、アスリートを対象とした研究はまだ限られており、特定の食品だけで睡眠の質が決まるわけではありません。
まずは、

3食を基本にする

必要なエネルギーを確保する

練習時間に合わせて食事を調整する

ことから始めましょう。

アスリートの睡眠についてよくある質問(FAQ)

Q. 試合前日に眠れなかったらパフォーマンスは落ちる?

A. 試合前日は緊張して、いつもより眠りにくくなることがあります。
「眠れない、どうしよう」と焦るほど、さらに眠れなくなることもあります。
一晩の睡眠だけですべてが決まると考えず、普段から睡眠時間を確保しておくことを大切にしましょう。

Q. 昼寝は疲労回復に役立つ?

A. アスリートの睡眠に関する専門家の報告では、昼寝や睡眠時間を延ばす方法について、今後さらに研究が必要とされています。
睡眠不足を毎日の昼寝だけで補おうとするのではなく、まず夜の睡眠時間を確保することを優先しましょう。

Q. 休日に寝だめすれば睡眠不足を補える?

A. 平日の睡眠不足を補うために休日に長く眠りたくなることもありますが、休日に起きる時間が大きくずれると、生活リズムが乱れる原因になります。
休日の寝だめに頼るのではなく、まずは平日から必要な睡眠時間を確保できる生活を目指しましょう。

まとめ|アスリートは練習・食事・睡眠をセットで考えよう

アスリートにとって睡眠は、疲労回復やコンディショニング、パフォーマンスを支える大切な時間です。

睡眠を整えるために、次の3つを意識してみましょう。

  • 中学生・高校生は8~10時間を目安に、必要な睡眠時間を確保する
  • 睡眠時間だけでなく、生活リズムや寝る前のスマートフォンにも気をつける
  • 夜遅い練習後は食事を抜かず、分食などを活用して食べ方を工夫する

練習を頑張るだけでなく、食べて、しっかり眠って回復するところまでが体づくりです。

今日からひとつだけやるなら

明日の起床時間から逆算して、今日の寝る時間を決めてみましょう。
「時間が余ったら寝る」のではなく、睡眠時間を先に確保する

寝ることもトレーニングのひとつです。
練習・食事・睡眠をセットで整えて、明日のパフォーマンスにつなげましょう。

参考文献

健康づくりのための睡眠ガイド2023
発行元:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

Sleep and the athlete: narrative review and 2021 expert consensus recommendations
発行元:British Journal of Sports Medicine
著者:Walsh NP, et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33144349/

Chronic lack of sleep is associated with increased sports injuries in adolescent athletes
発行元:Journal of Pediatric Orthopaedics
著者:Milewski MD, et al.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25028798/

Lack of Sleep and Sports Injuries in Adolescents: A Systematic Review and Meta-analysis
発行元:Journal of Pediatric Orthopaedics
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30888337/

The Impact of Dietary Factors on the Sleep of Athletically Trained Populations: A Systematic Review
発行元:Nutrients
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9414564/

Nutritional Interventions to Improve Sleep in Team-Sport Athletes: A Narrative Review
発行元:Nutrients
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8150598/

執筆者:丸井 遥

管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。

病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作やダイエット栄養相談、記事執筆などを行っている。

また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。
専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。

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