「もっと当たり負けしない体を作りたい」
「パワーをつけてライバルに差をつけたい」
そう考えて、筋トレやプロテイン摂取に力を入れているスポーツ選手も多いのではないでしょうか。
筋肉を鍛えることは競技力向上に欠かせません。しかし、筋肉だけを意識した体づくりには注意が必要です。
なぜなら、筋肉の成長に対して、それを支える腱(けん)や靭帯(じんたい)の適応が追いつかないと、ケガのリスクが高まる可能性があるからです。
そこで注目されているのが「コラーゲン」です。
コラーゲンは美容成分として知られていますが、実はスポーツ選手の体を支える腱や靭帯、骨にも重要な役割を持っています。
今回は、スポーツ選手にとってのコラーゲンの重要性や、ケガ予防につながる栄養の摂り方を管理栄養士が解説します。
続きを読む: 筋肉だけ鍛えると怪我をする?スポーツ選手の腱・靭帯を守るコラーゲンの重要性Contents
筋肉だけ鍛えるとケガにつながる理由

筋トレを続けると筋肉は比較的早く発達します。
筋肉は血流が豊富で栄養が届きやすく、トレーニングによる変化が現れやすい組織です。
一方で、腱や靭帯は血流が少なく、組織の修復や成長に時間がかかります。
そのため筋肉だけが先に強くなると、腱や靭帯に大きな負担がかかり、炎症や痛みを引き起こすことがあります。
特に次のような競技では注意が必要です。
- バスケットボール
- バレーボール
- サッカー
- 野球
- 陸上競技
ジャンプやダッシュ、投球動作を繰り返す競技では、腱や靭帯への負担が大きくなります。
中高生に多いスポーツ障害
成長期の選手に多いスポーツ障害には次のようなものがあります。
- ジャンパー膝(膝蓋腱炎)
- アキレス腱炎
- 野球肘
- シンスプリント
- オスグッド病
これらの障害はトレーニング量だけでなく、体を支える組織のコンディションも関係しています。
コラーゲンはスポーツ選手にも必要な栄養素
コラーゲンというと「肌に良い成分」というイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし、コラーゲンは体内のたんぱく質の約30%を占める重要な成分です。
特に腱や靭帯の主成分はコラーゲンでできています。
コラーゲンは、腱・靭帯・軟骨などをつくる重要な材料です。
これらの組織は、
- 筋肉の力を骨へ伝える
- 関節を安定させる
- 運動時の衝撃を和らげる
など、ケガを防ぎ、スムーズに体を動かすために欠かせない働きをしています。
また、骨や軟骨にもコラーゲンは多く含まれており、丈夫な体づくりに欠かせません。
成長期のスポーツ選手こそ意識したい理由

しかし、骨が急速に伸びる一方で、筋肉や腱はその変化にすぐには適応できません。
また、腱や靭帯は筋肉よりも修復や適応に時間がかかる組織です。
そのため、筋肉だけが先に強くなったり、成長に組織の適応が追いつかなかったりすると、腱や靭帯、骨の成長軟骨に大きな負担がかかります。
その結果、
- 膝の痛み
- かかとの痛み
- オスグッド病
- シーバー病
などのスポーツ障害が起こりやすくなります。
また、
- 筋トレばかり頑張る
- 食事内容が偏る
- 疲労回復が不十分
といったことも、ケガのリスクを高める要因になります。
成長期は筋肉づくりだけでなく、骨・筋肉・腱・靭帯を支える栄養をしっかり摂り、十分な休養を取りながら、体全体をバランスよく成長させることが大切です。
特に、腱や靭帯の主成分であるコラーゲンを合成するために必要な栄養素を十分に摂ることは、成長期の体づくりやスポーツ障害の予防に役立ちます。
コラーゲンを作るために必要な栄養素

コラーゲンは体内で作られます。
そのため、コラーゲンそのものだけでなく、材料となる栄養素を摂ることが重要です。
特に必要なのが次の3つです。
たんぱく質
筋肉だけでなく、腱や靭帯の材料になります。
ビタミンC
コラーゲンを合成するために欠かせない栄養素です。
鉄
コラーゲン合成を助ける働きがあります。
どれか一つだけではなく、バランスよく摂ることが大切です。
スポーツ選手におすすめの食品

コラーゲンやたんぱく質を含む食品
- 鶏肉
- 魚
- 牛すじ
- ゼラチン
- 卵
ビタミンCが豊富な食品
- キウイ
- いちご
- オレンジ
- ブロッコリー
- ピーマン
鉄を多く含む食品
- 赤身肉
- レバー
- カツオ
- マグロ
- あさり
- 小松菜
特に女子選手や持久系競技の選手は鉄不足に注意しましょう。
おすすめの組み合わせ
肉料理
- 鶏肉とブロッコリーの炒め物
- 牛肉とピーマン炒め
- 豚しゃぶとパプリカのサラダ
- レバー炒めとブロッコリー
- 鶏団子入り野菜スープ
魚料理
- 焼き鮭と 食後にキウイ
- カツオのたたきと 食後にみかん
- マグロ丼とブロッコリーサラダ
- サバの塩焼きと小松菜のおひたし
- ツナとキャベツのサラダ
栄養素を組み合わせることで、効率よくコラーゲン合成をサポートできます。
コラーゲンはいつ摂ると良い?

基本は毎日の食事から継続して摂ることです。
近年の研究では、コラーゲンとビタミンCを運動の約1時間前に摂取することで、コラーゲン合成をサポートする可能性が報告されています。
ただし、コラーゲンを摂っただけでケガを防げるわけではありません。
- 十分なエネルギー摂取
- たんぱく質の確保
- 質の良い睡眠
- 適切なトレーニング
これらを組み合わせることが重要です。
まとめ

スポーツ選手が長く活躍するためには、筋肉だけでなく腱や靭帯のケアも欠かせません。
特に成長期は筋肉の成長に対して腱や靭帯への負担が大きくなりやすい時期です。
コラーゲンは腱や靭帯、骨を支える重要な成分ですが、十分に働かせるためには、たんぱく質・ビタミンC・鉄をバランスよく摂ることが大切です。
筋肉を鍛えるだけではなく、体を支える組織まで育てる意識を持つことが、ケガに負けない体づくりと競技力向上につながるでしょう。
参考文献
Shaw G, Lee-Barthel A, Ross ML, Wang B, Baar K. Vitamin C-enriched gelatin supplementation before intermittent activity augments collagen synthesis. Am J Clin Nutr. 2017;105(1):136-143.

執筆者:丸井 遥
管理栄養士、スポーツ栄養プランナー、オンラインフードクリエイター。
病院・介護施設で栄養指導や栄養管理を経験。現在はフリーランスとして、スポーツ栄養教材の制作や栄養相談、記事執筆などを行っている。
また、栄養や子育てに役立つ情報をnoteでも発信中。専門的な内容を、わかりやすく実践しやすい形で伝えることを大切にしている。









