アスリートにとって、適切なたんぱく質摂取量を把握することは、パフォーマンス向上とケガ予防の両面でとても大切です。しかし「どれくらい摂ればいいのか」「競技によって違いはあるのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。たんぱく質は筋肉の材料になるだけでなく、回復力やコンディション維持にも深く関わります。
今回は、アスリートに必要なたんぱく質の摂取量の目安と、効果的な摂り方について解説します。
アスリートに必要なたんぱく質摂取量

アスリートにとって、たんぱく質は筋肉をつくるうえでとても大切な栄養素です。
トレーニングで筋肉に負荷がかかると、体はその修復や成長のために、より多くのたんぱく質を必要とします。これは、競技の種類によって筋肉の使い方や回復のスピードが違うからです。
国立スポーツ科学センター(JISS)が2003〜2004年に行った研究では、海外のデータを参考に、アスリートに必要なたんぱく質の1日あたりの目安量がまとめられています。
| スポーツの系統 | 1日のたんぱく質必要量(体重1kgあたり) |
| 瞬発系 | 2.0g |
| 球技系 | 1.75g |
| 持久系 | 1.5g |
出典:岡村浩嗣「アスリートのたんぱく質栄養の考え方」日本スポーツ栄養研究誌,第2巻,7−12,2008
ただし、これらの数値はあくまで目安です。日本人アスリートの実際のデータに基づいたものではないため、体質やトレーニングの強度、日々の食生活によって必要量は変わります。
自分の体に合ったバランスを見つけながら、無理のない食事を心がけましょう。
たんぱく質を効果的に摂取するポイント

たんぱく質は多く摂取すれば良いわけではなく、「どのように、いつ、何と一緒に摂るか」がパフォーマンスに大きく影響します。
ここでは、たんぱく質を効率的に体に取り入れるためのポイントを、栄養学的知見をもとにわかりやすく解説します。
複数回に分けて摂取する
たんぱく質は一度にまとめて摂るよりも、1日を通して何回かに分けて摂取するほうが、筋肉の合成に効果的だといわれています。
1日の目標量を朝・昼・夕・間食などに分け、例えば「20gを4回」のように小分けにすることで、筋肉に必要なアミノ酸を安定して供給できます。特に運動直後は、筋肉がたんぱく質を吸収しやすいタイミングといわれています。トレーニング後30分~2時間以内に摂取すると、筋肉修復がよりスムーズに進むとされています。
このように、摂取タイミングを分散することが、トレーニング効果を最大化するコツです。
良質なたんぱく質を選ぶ
たんぱく質には種類があり、どれを摂るかで筋肉への影響も変わります。良質なたんぱく質とは、体内で合成できない「必須アミノ酸」をバランス良く含むもの。特に筋肉の合成スイッチを入れる働きを持つ「ロイシン」を多く含む食品を意識して選びましょう。
おすすめの食材は卵、乳製品(ヨーグルト・チーズなど)、赤身肉、魚、大豆製品などです。これらをバランスよく取り入れることで、アスリートが求める“しなやかで強い”筋肉を育てる土台を作れます。
炭水化物(エネルギー源)を同時に摂取する
たんぱく質だけでは、理想的な身体づくりは難しいといわれています。なぜなら、エネルギー源となる炭水化物や脂質が不足すると、体はたんぱく質をエネルギー代わりに使ってしまうからです。
その結果、せっかく摂ったたんぱく質が筋肉合成に使われにくくなってしまいます。トレーニング前後の食事では、おにぎりやバナナ、パスタなどの炭水化物を一緒に摂取することで、エネルギーとたんぱく質の両方を効果的に活用できるのでおすすめです。
線維状たんぱく質を積極的に摂る
筋肉のほかにも、腱や靭帯、皮膚などに関わる「線維状たんぱく質(コラーゲンやエラスチン)」も、アスリートのパフォーマンス維持に欠かせません。これらは弾力やしなやかさを支える重要な素材であり、ケガを予防する上でも大切です。
ただし、コラーゲンなどは脂質と一緒に含まれることが多く、消化に時間がかかる点が難点です。運動直前や直後には、消化を気にせず素早く取り入れられるサプリメントやドリンクを活用するのもひとつの方法です。タイミングを選ばず摂取できるため、忙しいアスリートにもぴったりです。
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サプリメントを活用する
食事だけで十分な量のたんぱく質を摂取するのが難しい場合は、サプリメントを上手に取り入れるのも効果的です。プロテインパウダーは定番ですが、近年はより吸収の早い「EAA(必須アミノ酸)」や「BCAA」などのサプリメントも注目されています。
EAAは、消化を必要とせず体内で素早く吸収されるため、トレーニング直後のたんぱく質補給に最適です。プロテインが体に合わない方や食の細い方にもおすすめの選択肢です。筋肉の合成を促しながら、疲労回復のサポートにもつながります。
サプリメントはあくまで食事の補助ですが、目的や体質に合わせてうまく組み合わせることで、アスリートの栄養戦略をより効果的に高められます。
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アスリートの食事に積極的に取り入れたい食材

たんぱく質が豊富な食材は、体づくりの基本となる栄養素を効率よく摂取できるため、日々の食事に積極的に取り入れたいところです。
ここでは、アスリートにおすすめの食材を食品群ごとに、含まれるたんぱく質量とともにご紹介します。
肉類
肉類は、良質な動物性たんぱく質の宝庫です。たんぱく質だけでなく、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB群や、持久力アップに役立つ鉄分なども含まれているため、アスリートの体づくりに最適な食材といえます。
部位によってたんぱく質量や脂質量が異なるので、トレーニング内容や目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
| 食材 | 目安量 | たんぱく質量 |
| 牛肉 肩ロース | 100g | 16.2g |
| 豚肉 ロース | 100g | 19.3g |
| 鶏肉 もも(皮つき) | 100g | 17.3g |
魚類
魚介類は、動物性たんぱく質に加えて、EPAやDHAなどの良質な脂肪酸も豊富に含まれています。これらの栄養素は、炎症を抑える働きや、疲労回復をサポートする効果が期待できるため、アスリートにとって心強い味方です。
焼く、煮る、蒸すなど、調理法もバラエティに富んでいるので、飽きずに続けやすいのも魅力です。
| 食材 | 目安量 | たんぱく質量 |
| 鮭 切り身 | 80g | 17.8g |
| 鯖 切り身 | 80g | 13.8g |
| シーフードミックス | 80g | 13.7g |
大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)
大豆製品は、植物性たんぱく質の中でもアミノ酸スコアが非常に優秀で、動物性たんぱく質に匹敵する良質なたんぱく質を摂取できる食材です。消化吸収もよく、体への負担が少ないため、毎日の食事に取り入れやすいのが特徴です。
豆腐や納豆は、そのまま食べるだけでなく、さまざまな料理にアレンジしやすいので、和食を中心とした食生活にも自然に取り入れられます。
| 食材 | 目安量 | たんぱく質量 |
| 木綿豆腐 | 100g | 7.0g |
| 納豆 | 1パック | 7.4g |
その他(卵、牛乳)
卵や牛乳などの食材も、アスリートの食事に欠かせない存在です。卵は、必須アミノ酸がバランスよく含まれた「完全栄養食品」とも呼ばれ、吸収率も非常に高い優秀な食材です。
また、牛乳などの乳製品は、動物性たんぱく質に加えて、骨の健康維持に必要なカルシウムや、エネルギー代謝をサポートするビタミンB群も豊富に含まれています。
朝食や間食に手軽に取り入れられるため、忙しいアスリートにとっても続けやすい食材といえるでしょう。
| 食材 | 目安量 | たんぱく質量 |
| 卵 | 1個 | 6.7g |
| 牛乳 | 1本(200ml) | 6.8g |
まとめ
アスリートに必要なたんぱく質摂取量は、競技特性や体重、トレーニング量によって異なりますが、体重1kgあたり1.5〜2.0gを目安に、質とタイミングを意識して摂取することが重要です。食事を基本にしつつ、炭水化物との組み合わせやサプリメントの活用によって、より効率的な身体づくりが可能になります。日々の食事内容を見直し、自分に合ったたんぱく質摂取を実践していきましょう。











