
メディシンボールは、全身をバランス良く鍛えつつ、機能的な動きを身に付けられるトレーニング器具です。初心者から上級者まで幅広く活用できます。
今回は、そんなメディシンボールを使ったトレーニング方法や、使い方のポイントについて解説します。
Contents
メディシンボールのトレーニング効果
メディシンボールは、柔らかい素材でできた球状のトレーニング器具で、重量は1kg〜10kg程度のものが一般的です。
元々はリハビリ用のトレーニング器具として使われていたという歴史があり、初心者でも安全に使いやすいのが特徴です。現在では筋力アップ、体幹トレーニング、さらにはスポーツ競技のパフォーマンス向上のために幅広く活用されています。
まずは、メディシンボールのトレーニング効果について紹介します。
全身をバランス良く鍛えられる
メディシンボールの重さを利用してトレーニングすることで、体幹を含む全身の筋肉を同時に鍛えられます。
例えば、メディシンボールを使った回旋運動(ツイスト動作)では、腹筋だけでなく肩や背中、脚も効果的に鍛えることができます。
実践的な動きをトレーニングできる
メディシンボールのトレーニングには、日常生活やスポーツで行うような自然な動きを取り入れることができます。
投げる、持ち上げる、転がすなどの動作を通じて実践的な身体能力を向上させることが可能です。
筋力だけでなく、スピードやコーディネーション(調整力)を高められるため、スポーツにおける複合的な動作パフォーマンスの向上に直結します。
爆発的なパワーを鍛えられる
メディシンボールを使ったスローイングのトレーニングは、瞬発力など短時間で爆発的なパワー発揮を養うのに適しています。
野球における投球動作や陸上競技での瞬発的な動作など、競技特性に応じた爆発的パワーの向上が期待できるため、スポーツパフォーマンスの向上を目指す方には特におすすめのトレーニング方法です。
【競技別】メディシンボールのトレーニング方法
メディシンボールは競技特性に応じたトレーニングができる万能な器具です。
ここでは、野球と陸上のパフォーマンス向上に役立つトレーニングを紹介します。
野球部におすすめのトレーニング
メディシンボールのトレーニングは、野球では投球速度アップ、打撃強化、守備範囲拡大などの効果が期待できます。
野球におすすめのトレーニングは以下の通りです。
ツイストスロー(体幹回旋運動)
ツイストスローは、投球やバッティング時の回転力を向上させ、打球の飛距離向上や球速アップに役立ちます。
【手順】
1.足を肩幅に開いて立ち、メディシンボールを両手で胸の前に抱えます。
2.下半身は安定させたまま、投げたい方向とは反対側に上半身のみを回旋させ、メディシンボールを脇腹付近まで引きます。
3.引いた状態から素早く体幹を反対方向に回旋させ、その回転力を利用してメディシンボールを投げます。
メディシンボール・スラム(叩きつけ)
全身の力を使って床に向かってボールを叩きつけるトレーニングです。
【手順】
1.足を肩幅に開いて立ち、メディシンボールを頭上まで高く持ち上げます。
2.メディシンボールを自然に落としながら、その動きに合わせ、全身の力を使って地面に叩きつけます。
<h4>オーバーヘッドスロー</h4>
立った状態でメディシンボールを持ち、体幹を使って頭上から遠くに投げるトレーニングです。投球パワーを向上させるのに役立ちます。
【手順】
1.両足を腰幅から肩幅程度に広げ、両肘を軽く曲げながら、メディシンボールを頭上の後方に構えます。
2.腹筋を使ってメディシンボールを前に投げます。
陸上競技部におすすめのトレーニング
陸上競技では、スプリント能力向上や股関節・膝・足首を伸ばす筋力・パワーの向上に効果があります。短距離走では爆発的なスタートダッシュ、投てき種目では全身の連動性強化を目指せます。
陸上競技におすすめのトレーニングは以下の通りです。
メディシンボールダッシュ
ボールを投げた勢いで、身体を前に投げ出してスタートのスキルを磨く練習です。スタート時の重心の崩し方などの技術向上が期待できます。
【手順】
1.斜め45度くらいにメディシンボールを投げる
2.その勢いで前方向に飛び出し、そのままダッシュに繋げる
腹筋を鍛えるトレーニング
腹直筋を鍛えられるメディシンボールトレーニングです。自重で行うよりも負荷をかけることが可能です。
【手順】
1.仰向けに寝て、メディシンボールを足首に挟みます。
2.膝と股関節が90度になるまでゆっくりと上げ、下ろしを行います。
ストレッチショートニングスロー(投てき選手のトレーニング)
肩回り、胸周りの筋力を反動動作を使って鍛えるトレーニングです。メディシンボールを2つ用意しましょう。
【手順】
1.1つ目のメディシンボールを体育座りの状態で背中に置きます。
2.2つ目のメディシンボールを両手で持ちます。
3.背中のボールに体重をかけて上体を後ろに倒し、その反動を利用して、手に持ったメディシンボールを前方に力強く投げます。
【レベル別】メディシンボールのトレーニング方法
次は、レベル別にメディシンボールのトレーニング方法を紹介します。
初心者におすすめのトレーニング
メディシンボール初心者は、基本的な体幹トレーニングから始めることが重要です。正しいフォームを身につけながら、無理のない重量で安全にトレーニングを行いましょう。
ロシアンツイスト
身体を左右にひねりながら腹筋と体幹を鍛えるトレーニングです。
【手順】
1.床に座り胸の前でメディシンボールを持ちます。
2.膝を90度に曲げ、上体をやや後傾させて腹筋に力を入れます。
3.腹筋に力を入れた体勢のまま上体をリズム良くひねります。
メディシンボール・スクワット
下半身(脚、お尻)の強化に加え、上半身や体幹も鍛えられるトレーニングです。
【手順】
1.足を肩幅程度に開いて立ち、メディシンボールを胸の前でしっかり持ちます。
2.息を吸いながら上体をゆっくり下ろし、太ももと床が平行になったら息を吐きながら元の位置に戻します。
中級~上級者におすすめのトレーニング
トレーニングに慣れてきた中級者以上は、より高強度で複合的な動作を取り入れたトレーニングにチャレンジしましょう。心肺機能や全身の連動性を高める効果が期待できます。
ウォールボールショット
下半身の筋力、上半身の筋力、心肺機能を同時に鍛えられるトレーニングです。
【手順】
1.メディシンボールを胸の前で持ち、スクワットを行います。
2.スクワットから立ち上がるタイミングで、メディシンボールを壁に向かって投げます。
3.ボールをキャッチし、繰り返します。
メディシンボール・プッシュアップ
腕、胸、肩と体幹の強化ができる高難易度トレーニングです。
【手順】
1.プッシュアップ(腕立て伏せ)のポジションをとり、一方の手をメディシンボールの上に置きます
2.通常のプッシュアップを行い、途中で手を入れ替えます
3.肩から腰、かかとまで一直線になるように体幹を維持しながら繰り返します
メディシンボールのトレーニングのポイント
メディシンボールのトレーニングを続けるための重要なポイントを紹介します。
身体の柔軟性を保つ
メディシンボールトレーニング前には、全身を使った準備運動で筋肉をほぐしましょう。
特に肩関節、股関節、体幹部の可動域を十分に確保することで、ケガの防止につながります。
また、靭帯や腱、筋膜の主要成分であるコラーゲン・エラスチンなどの線維質を摂取することで、より身体の柔軟性を保つことが可能です。
これらの線維質は「線維状たんぱく質」や「線維プロテイン」とも呼ばれ、靭帯や腱、筋膜の保水力を補い、しなやかさの維持や修復の活性化に役立ちます。
▼身体の線維質の構成
コラーゲン・エラスチンを効果的に摂取するなら、食べるストレッチ「スポコラ」をお試しください。ケガ予防やコンディションの維持をしながら効果的なトレーニングを続けたい方におすすめです。
関連記事:「エラスチンの驚くべき効果!アスリートの柔軟性を高め、靭帯のケガ予防に不可欠な理由」
正確なフォームを意識する
狙った筋肉に効果的に働きかけるためには、正しいフォームでトレーニングを行うことが最も重要です。
初心者の方は、プロのトレーナーの指導のもとで基本的な動作を習得することをおすすめします。
間違ったフォームのままトレーニングを続けてしまうと、関節に大きな負荷がかかり、ケガの原因となる可能性があります。特にメディシンボールを使った投げる動作や回旋動作では、正確なフォームが安全性に直結するため、十分な注意が必要です。
規則正しい呼吸を行う
正しい呼吸法を身につけることで、トレーニング効果が大幅に向上します。基本的には、筋肉を収縮させる(力を入れる)際に息を吐き、筋肉を伸展させる(力を緩める)際に息を吸うようにします。
適切な呼吸は酸素供給を促し、疲労の軽減にも効果的です。
まとめ
メディシンボールトレーニングは、体幹強化からスポーツパフォーマンス向上まで幅広い効果が期待できる優れたトレーニング方法です。全身をバランス良く鍛えられ、機能的な動きや爆発的なパワーを養うことで、競技力向上に直結します。
今回紹介したトレーニングを参考に、理想的な身体づくりやパフォーマンス向上を目指してみてはいかがでしょうか。