
ランニングを習慣にしている方にとって、筋肉痛や疲れの長期化は避けたい悩みです。その対策として、プロテインを飲んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし、プロテインは摂取のタイミングや選び方を間違えると、消化トラブルで下痢や便秘、お腹がはることもあります。今回はランニングとプロテインの関係性や、正しい飲み方について解説します。
Contents
ランニングでプロテインを摂取するメリット
プロテインは、身体に必要不可欠なたんぱく質を効率良く摂取するための栄養補助食品です。以下にプロテインを摂取するメリットを紹介します。
筋肉の修復

ランニングは、筋肉への負担が大きく微細な損傷を与えます。その筋肉損傷を効率的に修復するのが「たんぱく質」です。
プロテインは消化されるとアミノ酸に分解され、筋肉修復に役立ちます。
長距離の走行中は、筋肉の分解が進みやすいので、適切なタイミングでのプロテイン摂取が筋損傷の回復を早めます。
疲労回復が早まる

疲れを早く回復させるには、エネルギー疲労と損傷疲労の両方の栄養が必要です。
エネルギー疲労は糖質が担います。一方筋肉の損傷回復には、アミノ酸(たんぱく質の分解物)が有効的です。
プロテインを上手に活用することで、両方の摂取が可能です。
コンディションを整える
プロテインはたんぱく質の補給源だけではなく、総合栄養食としてのも優れています。ビタミンやミネラルといった必須栄養素も含まれているので、コンディションを整えるのに最適です。
それらは代謝を向上させ、エネルギー効率を高めます。代謝が活発になると、脂肪燃焼が促進されるだけでなく、免疫力の維持やデトックス効果も期待できます。
ランニング実践者のプロテインの選び方
ランニングをしている方がプロテインを選ぶ際には、運動目的や体質に合った適切な種類を選ぶことが重要です。疲労回復やパフォーマンス向上に効果的なプロテインを見極めるポイントを解説します。
プロテインの種類
近年さまざまなプロテインが発売されていますが、主にはホエイ、カゼイン、ソイの3種類です。それぞれ特性が異なるため、目的や摂取タイミングに合わせて選ぶことが大切です。
ホエイプロテイン

早い疲労回復を目指すなら、吸収速度の速いホエイプロテインがおすすめです。
ホエイプロテインは牛乳やチーズ由来のたんぱく質で、疲労回復に役立つBCAA(分岐鎖アミノ酸)(※)やEAA(必須アミノ酸)が豊富に含まれています。
※BCAA…アミノ酸は体内で合成できない必須アミノ酸(EAA:9種類)と合成できる非必須アミノ酸(NEAA:11種類)に分けられますが、BCAAは必須アミノ酸のうちバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類を指します。
ソイプロテイン

大豆由来のソイプロテインは、植物性たんぱく質を摂りたい方や乳製品にアレルギーがある方に適しています。
βコングリシニンやイソフラボンなど、健康に良い成分が含まれているのが特徴です。脂質が少なく、コレステロール値が気になる方にも向いています。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインも牛乳由来ですが、ホエイと比べて吸収速度が遅いため、アミノ酸が吸収されるには時間がかかります。そのため、睡眠中の疲労回復を促すのに役立つといわれています。
含まれている成分
プロテインを選ぶ際は、たんぱく質の量だけでなく、糖質やビタミン、ミネラルの含有量もチェックすることが重要です。それぞれの成分に期待できる効果は次の通りです。
糖質

糖質は体内でブドウ糖に分解され、脳や神経系のエネルギー源としてはたらきます。
そのため、ストレスなどの精神的な疲労を回復させるのに役立ちます。
ビタミン・ミネラル

ビタミンやミネラルは代謝を高めるのに役立ち、エネルギーを効率的に作り出しやすくなります。
中でも、マグネシウムや鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミンB・Cなどは持久力向上に効果が期待できます。
また、ミネラルは汗を消費しやすいランナーには必要不可欠です。体重の1%の汗をかくと運動のパフォーマンスが約10%低下するといわれていおり、定期的なミネラル補給が大切です。
1食分あたりの栄養価と価格
プロテインの価格は製品によって大きく異なります。単純な総量だけでなく、1食分あたりのコストと栄養価を比較することが大切です。
ランニング実践者の適切なプロテインの飲み方
ランナーが最大の効果を得るためには、体の消化吸収のメカニズムに合わせた摂取方法を選びましょう。以下では、プロテインを摂取する適切な量とタイミングを紹介します。
1回の摂取量
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日のたんぱく質の推奨量が成人男性で65g、成人女性で50gです。

しかし、たんぱく質を一度に大量に摂取しても、体が消化できる量には限界があります。過剰摂取は胃腸の不快感やガスの発生など、消化トラブルの原因になるため注意が必要です。
そのため、1回の摂取量を20〜30g程度に抑え、1日の必要量を複数回に分けて摂取する方法がおすすめです。詳しくは、各商品のパッケージに記載されている推奨量を参考にすると良いでしょう。
出典:厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書」
摂取するタイミング

プロテインを摂取する最適なタイミングは、食事中や食後です。これは一般的な認識と異なるかもしれませんが、科学的な根拠に基づいています。
運動直後や就寝前にプロテインを摂取すると、消化不良を引き起こしやすいのです。
生理学の研究でも、運動後は胃腸の血流が減少しており、消化機能が低下していることが分っています。就寝前の摂取も胃への負担が大きくなります。
理想的はバランスの取れた食事と一緒にプロテインを摂取することです。食事中は消化酵素が活発に分泌され、たんぱく質の吸収率が高まります。食事と一緒に摂ることで、胃腸への負担が軽減されます。
出典:Kim van Wijck,他「Physiology and pathophysiology of splanchnic hypoperfusion and intestinal injury during exercise: strategies for evaluation and prevention」Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol,303(2),G155-68
関連記事:「トレーニング後のプロテインはNG!EAA・BCAAとの違いは?」
ランニング実践者のプロテイン摂取の注意点
プロテインは筋肉の回復や疲労軽減に効果が期待されますが、体調不良を引き起こす恐れがあります。
消化トラブル

プロテイン摂取後にお腹の張りや膨満感、ガスの発生、下痢などの症状が出る場合は、単に量が多すぎるだけでなく、特定の成分に対する不耐性が原因かも。
ランニングでは、胃腸トラブルがパフォーマンスに直結するため、自分に合ったプロテインを見つけることが重要です。
乳糖不耐症

ホエイプロテインに含まれる乳糖で、乳糖不耐症になる方がいます。乳糖分解酵素(ラクターゼ)が少ない方は消化不良を起こしやすくなります。
この場合、乳糖フリーのホエイプロテインアイソレートや植物性プロテインへの切り替えが効果的です。
大豆に含まれる「レクチン」が合わない
ソイプロテインを摂取して不調を感じる場合は、大豆に含まれるレクチンという成分が合わない可能性があります。レクチンは一部の人にとって消化管を刺激し、不快感を引き起こすことがあります。
腸内環境の乱れ
運動量が急に増えたり、食生活が変わったりすると、腸内細菌のバランスが崩れ、プロテインの消化吸収に影響することがあります。
身体への負担を減らす「アミノ酸」もおすすめ!
プロテインが体質に合わない方や、より効率的な栄養補給を目指す方は「アミノ酸」単独で摂取するのがおすすめです。
アミノ酸の単独摂取 /EAA

EAAは消化が必要ないため吸収が早く、ランニング中や直後でも摂取できます。
アミノ酸は、体内で合成できない必須アミノ酸(EAA)と、体内で合成できる非必須アミノ酸(NEAA)に大きく分けられますが、特に意識すべきなのがEAAです。
ダメージを素早く修復

NEAAは筋肉を成長させることはできません。一方EAAは筋量アップ(筋タンパク質の合成)に直接的な影響を与えるので、充分に摂取すれば身体に必要なNEAAを自ら合成することが可能です。ランニングでの筋肉ダメージを素早く修復・回復したい方は、EAAを積極的に活用しましょう。
MUGENのおすすめサプリ
リカバリーサプリの専門会社「MUGEN BIONIC」が提供している、EAAの補給に着目したサプリメントを紹介します。
EAAレギュラー/必須アミノ酸
食べるストレッチ「スポコラ」
アクティブ系保水パウダー

汗で失うミネラルや、持久力アップに役立つビタミンを補給できる保水パウダーで、運動のパフォーマンスを長く維持したい方や持久力を高めたい方におすすめです。
まとめ
ランニングとプロテインの関係性を正しく理解することで、運動効果を最大化できます。プロテインは筋肉修復、疲労回復、コンディション調整に効果的ですが、自分の身体に合った種類を選びましょう。
摂取タイミングは意外にも食事中や食後が理想的で、一度に大量摂取は避けるべきです。また体質によって消化トラブルを感じる方はアミノ酸サプリメントも選択肢に入れましょう。