プロテインの一番の問題は「消化・分解」による体への負担が大きいことです。
トレーニング直後にステーキを食べられますか?
激しい運動直後は、消化ができません。
プロテインがトレ後
吸収できない理由
運動直後は、消化機能が著しく低下します。筋肉を激しく動かすと、すべて運動機能が筋肉に集中します。運動後は筋肉・内臓・血管の修復が優先されます。
大量のエネルギーが投入される消化吸収の優先順位は高くありません。1時間ほどかけて徐々に消化機能が回復します。
肉=30%、プロテイン=90%
そもそもプロテインは高濃度たんぱく質のため、体への負担が大きいです。ステーキのたんぱく質量は30%ほどですが、プロテインは90%前後あります。
下は2022年の国際スポーツ栄養学会で発表された表です。運動直後がもっとも吸収が悪く、運動後1時間以上かけて消化機能が高まります。
運動前後の筋肉への取込み量
筋疲労やダメージを減少
させるEAA・BCAA
では体への負担が少なく効果的なものは?
消化が不要なアミノ酸、EAAやBCAAです。
プロテイン・EAA・BCAAの違い
体は20種類のアミノ酸でできていますよね。このアミノ酸が複雑に連結しているのがプロテイン(たんぱく質)で、バラバラなのがアミノ酸です。
プロテインは、20種類のアミノ酸が連結固定していて、組合せでたんぱく質の種類が変わります。
EAAとBCAAは、バラバラの遊離アミノ酸という状態で血中を浮遊します。たんぱく質も消化分解されるとこの状態になります。
EAAは9種類の必須アミノ酸のことで、BCAAはそのうち3つの筋肉系(分岐鎖アミノ酸:バリン・ロイシン・イソロイシン)のアミノ酸です。
ちなみにアミノ酸が数個~数十個連なったものを「ペプチド」といい、組合せで働きが違います。
アミノ酸の数は
多い方がいい?
ということはありません。目的以外のアミノ酸があると、体の負担が増えて非効率です。
EAAとプロテインの筋合成量の違い
20種類のアミノ酸のうち、非必須の11種類のアミノ酸は、全く筋肉合成に関わっていないことが分っています。つまり消化分解されるプロテインの半分以上が、筋肉に使われないということが分っています。
EAAとプロテインの筋合成の比較
血中アミノ酸濃度が
重要なポイント
プロテインやEAAを使う目的は、筋肉強化、持久力維持、筋損傷の回復など色々です。いずれも重要なのが「血中アミノ酸濃度」です。
運動中に「血中アミノ酸」が高濃度だと、筋肉分解が起こりづらく筋損傷を抑えます。持続的にエネルギーを供給できるので「持久力」がアップします。運動後は、修復が早く筋疲労が少なくなります。
高低アミノ酸濃度での筋肉合成と分解
プロテインは消化が必要なので、運動前や運動中に摂取が難しいですよね。他方、EAAとBCAAは、運動前・運動中・運動後いずれにおいても、スムーズな吸収が可能です。血中アミノ酸濃度という点においては、この2つがベストだと考えられます。
プロテインの利点
アミノ酸の吸収性と利点を話してきましたが、プロテインにも利点があります。それは総合完全食の側面があることです。運動前後はマイナス点がありますが、食事と一緒、または食事の一部置き換えにおいては優れた食品です。